※内容は、2018年11月時点のものです。
個を尊重するような社会であって欲しい。
だから”コデアル”=”個である”という会社を作ったんです。
いま
-現在の仕事について教えて下さい。
「働くをもっと自由に」のビジョンを掲げ、即戦力の複業求人サイト
「コデアル」を運営しているコデアル株式会社の代表をやらせて頂いてます。
経営者という立ち位置ではあるのですが、
僕自身はサービスを作る人だという認識でいます。
もともとこれまでなかったような最高のサービスを創りたいという気持ちが強く、
サービスの段階に応じて人の助けをお借りし、なんとか前に進んでいます。
こちらにも詳しく書いているのでお読みいただければと。
自分のやる仕事は段階ごとに変わってきました。
-どんな日々を送っていますか?
僕自身は週6-7日で仕事をしているかもしれません(笑)
サービスのこと、ユーザーのことを考えている時間まで含めてしまうと。
他のメンバーはもちろん違いますよ(笑)
もともと学生の頃から個人でサービスを作り続けていて、
正直サービス作りが趣味なので、働くという感覚より、
ユーザーの皆様に好きなお仕事をさせて頂いているという感覚が強いです。
最近の時間の使い方は、採用とサービス作りで50:50。
人に関わるサービスを創っているので、
100%サービスを創ることに関わっていると言ってもいいのかもしれません。
– 採用は、どういう基準で見てらっしゃるんですか?
この人だ!と思ったら無理そうだとなりかけても、
絶対口説きにいくことだけは心がけています(笑)
そのため振られることも極めて多いです。
ただ結婚式の二次会で口説いて、一緒に働かせて頂くことになった人もいます。
全部が80点以上というよりは、何か自分とは違った得意技を持っている人に惹かれます。
今私たちが取り組んでいる「働くをもっと自由にする」という課題に対して、
共感・興味を持ってくれる人と一緒に働かせて頂いています。
僕は、まず最初に小さな仕事でもいいので、絶対一緒に仕事させて頂くことにしています。
正直、一緒に、パートナーとしてやっていけるのかは、やってみないとわからないなと。
– 相性は大事ですよね。起業してみていかがですか?
苦しいけど、楽しい。もちろんうまくいかない事はたくさん出ます。
というより、うまくいかないことの方が大多数かな。
もう駄目かも、やめたいっていう時も正直あります。
僕は、普通の人だし。もうお金なくなるなーとか(笑)
それでも、僕にとっては、自分たちも心から使いたいと思うようなサービスを創り、
ユーザーの方にこれまでなかったような体験を届けることが、何にも変えがたい。
自分にとって、それ以上に価値を感じることはありません。
– やめたくなった時の歯止めは何かあるのですか?
めげそうな時は、Apple、SONY、Dysonの創業者の話を思い出します。
どの会社の創業者も、これまでなかったような最高の体験を届ける
サービスを創り出すことに深く関わっている人たち。
スティーブ=ジョブズ氏、盛田昭夫氏、ジェームズ=ダイソン氏…
僕は、彼らの、サービス創造に対する献身的な姿勢を、心から尊敬しています。
その、本気である姿勢を、サービスを通じて感じるから。
特にSONYの創業者の盛田さんは、僕にとってのスター。
自叙伝を読むと分かりますが、そんな彼らですら大変な目にあっているんだから
きっとまだまだ自分は大丈夫で、ピンチだなんて言えないな、と。
もともと、サービス開発は僕にとって、好きでやっていたことだし。
これは、アーティストの話に似ていると思う。
確かに僕はサービス作りが大好きだけれど、残念なことに僕は、凡人で。
だから、みんなが支持してくれそうな”売れそうな歌”を歌うことも、する。
自分が歌いたいだけではなく、そのサービスをお金を出してでも
買いたいと思う人がいるか、も、セットで必ず考えます。
好きとユーザーから求められるものの、そのバランスをどう取るのか。
いつもそこに葛藤しています。
– 仕事の間のリラックス方法・効率をあげる方法はありますか。
好きな音楽を聞いたりですかね。
GReeeeNの曲はよく聞きますね。彼らの曲を聞くといつも力を貰えます。
「刹那」「歩み」「扉」あたりが好きな曲。
複業アーティストなのもかっこいい。
彼らのバンドのロゴが歯をモチーフにしていることからわかるように、
歯医者さんでありながら、アーティストでもある。
あとは朝走ったり、人としゃべったり。
特にリモートワーク主体の会社なので、運動不足にならないように、
朝走るのは寒くなってきて辛いですが、続けています。
基本的に好きなことを仕事にしているので、オンオフの区分はそこまでないかな。
これまで
-学生時代はいかがでしたか。
そんなに目立つような話はないですよ(笑)
クラスでは地味で目立たないやつでした。
遡ると、小学校高学年の時に、めちゃくちゃ太っていて(笑)
それはそれは、恰幅の良い体型でした。
ミーハーなので、スラムダンクを読んで、中学でバスケ部に入ったんですけど。
やっぱりそれだけ太っていると、当然からかわれるし、
いつもダッシュとかもビリでとにかく辛かったです。
もうやめたい、なんで部活行かなきゃなんだと毎日思うくらいに嫌でした。
でも、当時、スラムダンクを読んで、意識が変わって。
三井という大好きなキャラクターがいるのですが、彼は諦めない男。
すぐ諦めるのは、三井っぽくない。とりあえず続けてみよう、と。
まずとりあえず体が重たすぎて走れなかったので、
痩せるためにカロリーについて学び、筋トレも当時の顧問の先生に
メニューも個別に組んでくださいとお願いに行き、やってみました。
すると、体重は減り、長距離走は早くなり。
クラスでいつもドベだったところから、1-2番くらいまで速くなった。
その時は、すごく嬉しかった。
正しく努力をしたら、結果がついてくるのだと思った。
でも、肝心のバスケは全くうまくならなかった。万年補欠で、出番なしだった。
その経験を通して、自分が得意なところで努力することの大切さ、
あとは素質の影響度が高いものと低いものがあると、学びました。
スポーツが苦手だとわかっていたので、高校では囲碁部に。
祖父が、囲碁好きで。よく小さい頃相手をさせられていたんです。
これは得意なものだったから、全国大会にもいけたし、キャプテンにもなった。
補欠だったバスケ部の時とは大違いですね(笑)
最近、囲碁と経営はすごく似ていると感じる時があります。
全体を俯瞰した上で、どこから手をつけるのか、を決めて、物事を進める。
大学は裕福ではなかったので、国立へ。私立は学費が高くて、きつくて…
僕は長崎の出身なんですけど、やっぱり東京に出たかった。
1年浪人して、東京の大学に入りました。
とはいえ、大学2年くらいまでふらふら遊んでいて、正直何もしていなくて…
そのあと目覚めてベンチャー企業で働き始めるようになりました。
– その時、何が起こったのか気になりますね(笑)
遊んでいても、楽しくなくなったんですよね。
中学も高校も、部活などに夢中な自分がいた。
自分が定めた目標に向けて、そこに熱中している時が楽しいのだと、気づいた。
ベンチャー界隈の人たちが、話していて一番楽しそうだったんです。
-ベンチャーのバイトでは、どんなことを。
今はもうない会社なんですが、20名くらいの小さい会社で。
営業やプログラマーの仕事をしていました。
大学4年のときに社員にしてもらい、この時は大学を辞めようと思った。
事実、親にも辞めると一度言ったことがあります。
浪人する時の親との約束があったので卒業だけはした形です。
全然勉強しておらず、まさに絵に描いたような劣等生でしたね。
成績も可と不可しかなくて、不可が多かった(笑)
友達が過去問を見せてくれたおかげで、卒業できました。
単位が足りなくても授業には出なかったし、
しかもインフルエンザにかかるなどしてヤバい状態になり。
今も昔もこういうところは変わりません。僕は、計画性がないのです(笑)
-では就活は…
していません。OBから紹介を受けた数社からは内定は幸い頂くことができました。
ただご縁をいただいたものの、行きませんでした。
-なりたい職業や夢は特になかったのですか?
元々起業家や経営者になりたいという志向は全くなかったです。
父は中卒、普通のサラリーマンですし、身近な親族にも経営者はいませんでした。
両親のことは心から尊敬していますし、彼らも僕の背中をいつも押してくれた。
自分からやりたいと言ったことで、やらせてもらえなかったことは一つもなかった。
今思うと、両親は、小さい頃から自立した個人として僕に接してくれていたと思います。
常に自分で決めて、自分が好きなようにやればいい。
ただその責任はきちんと自分で取りなさいという姿勢が一貫していたと思います。
僕は、得意と不得意のギャップがすごく激しい人間です。
そして得意なことはほんの少ししかありません。
できないこと、不得意なことの数のほうが圧倒的に多いです。
だからなのかもしれませんが、得意だから好きになる傾向はあり、
上手くなっていくと本当に楽しくなっていく。
上手にできることは、放っておいても、どんどん頼まれるようになります。
求められていることを好きになっていくところがあります。
-若い頃の自分に言いたいことは。今もお若いですけど(笑)
いや、もう、自分が決めたことならいいんじゃないかなと思います。
きっと過去の自分は、未来の自分が言うことなんか聞かないし。
「何、このおっさん?」とか言っている気しかしませんね(笑)
価値観
-幸せとは、なんだと思いますか。
自分が、心からやりたいことに、全力で取り組めること。
自由と幸せは違うと考えています。
一人で会社を始めた時は自由だったと思いますし、正直気楽だったこともあります。
ただ今はいろんな人を巻き込んでいます。
正直、様々な人の応援を受ければ、自分だけのものではなくなるので自由は減る。
従業員もお客様も、これまでの過程でたくさん応援してきてくれた人たちがいます。
その意味では、彼らに、愛宕を応援してよかったと少しでも思ってほしい。
頂いたお金も、何のためにお金を使うのか、だと思います。
僕はこれまでなかったようなすごいサービスを創り出すために、お金を使いたい。
心からやりたいのは、自分たちが本当に欲しいと思うサービスを形にし、届けること。
そのサービスを、お金を払ってまで使っていただけるというのは、本当にすごい。
– コデアルはユーザーとして、ご自身でも使われているのでしょうか?
はい!
毎日ログインして、毎日使い倒して、もっと良くできないかと考え、改善し続けています。
まだまだ良くしたいと思っています。まだまだですいません!(笑)
– まさにペルソナですね(笑) 目指す世界観はどんなものですか?
コデアルという会社名なんですが、”コデアル”=”個である”から来ています。
会社の大事にしているバリューは、シンプルであれ・率直であれ・主体的であれの3つ。
物事を突き詰めると、シンプルになると私たちは信じています。
サービスを創るときも最も大事にしたいものです。
率直であるには、個人と企業が対等である必要があります。
対等でなければ、率直な物言いはできないと考えているからです。
主体的であることは、好きにつながります。
僕もそうなのですが、人は好きでやることしか結局続かないし、きっと本気になれない。
-個を大事にしたくなるような、辛い原体験があったんでしょうか(笑)
前の話と繰り返しになってしまいますが、自分の両親が
常に僕個人を認め、後押ししてくれたことこそが、
個の尊重を大事にしたいと思うようになったきっかけなのかもしれません。
バスケも、太ってるからやめなさいなんて言われなかった。
常に自分で決めて、自分が好きなようにやればいい。
ただその責任はきちんと自分で取りなさいという姿勢が、一貫していた。
あとは、人と同じことが嫌いではありました。
幼稚園の時に、劇で桃太郎をやったんですよ。
その時みんな桃太郎をやりたがったんですけど、僕は鬼をやりたがったらしい。
人とは違うことがしたかったんでしょうね。
-わかります、私もそうでした。価値観が違う人と出会ったらどうしていますか?
反対の意見を持つ人へ、SONYの盛田さんが言った言葉が興味深くて。
「あなたと私がすべての問題についてそっくり同じ考えを持っているなら、
私たち二人が同じ会社にいて、給料をもらっている必要はありません。
この会社がリスクを最小限に押さえて、どうにか間違わずに済んでいるのは、
あなたと私の意見が違っているからではないでしょうか。
どうぞお怒りにならず私の考えを検討してみてください。
私と意見が違うからと言ってお辞めになるというのでは、
会社はどうなってもよいというのでしょうか」
自分は、価値観が違うから嫌いとか、そういう方向には、いかないです。
むしろその人は、そういう考え方や捉え方をするのかと思う。
違うなら違うでそれでいいと思うし、違うから私とあなたは一緒にやっている。
自分と同じような人たちで会社をやっていたら、
僕はコデアルという会社を3日と持たずして、潰してしまっていたでしょう。
これから
-これからの働き方はどう変わると思いますか。
仕事に人が合わせるのではなく、人に仕事が合わせるような世界が見たい。
複業やリモートはあくまで手段でしかないからです。
パソコンの父であるアラン・ケイという人が、素敵な言葉を語っています。
「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」と。
未来に影響を与えられるようなサービスに取り組めたら楽しいなと思います。
息子に、拓く未来と書いて、「拓未」という名前をつけてしまったくらいには、
未来にあればいいなと思うサービスを創り出すこと、生み出すことに喜びを感じる。
– 未来の日本はどういう国になっていると思いますか?
日本がどうか、ではあまり考えたことはありません。
仕事において、人が企業を選ぶように、人が国を選ぶ時代になるのでしょう。
日本という国がみんなから選ばれるような国になれば素敵ですね。
世界人や地球人という捉え方で見ています。
僕は長崎出身で坂本龍馬が好きなのですが、当時の人にとっての日本が、
「土佐(高知県)=現代人にとっての47都道府県を合わせた日本」という
捉え方であった時に、彼はすでに、
「現代人にとっての47都道府県を合わせた日本=龍馬にとっての日本」と
物事を捉えていた人だと思います。
なので僕も、「世界196か国が愛宕にとっての日本」で捉えたい、
世界人でありたいと勝手に妄想しています(笑)
だから自分たちが創るサービスも、常に世界中の人に届けられるものになるのか、
世界中の人に価値あるものにできるか、という判断軸で取り組みたいと思っています。
– 自分の老後。
全く考えたことがないです。本気で、明日死ぬかもしれないと思っていて。
事実自分が起業したのは、母の死が影響していて。
彼女の命日の、その月には、創業しました。
いつ人は亡くなるのか、わからないと思った。
母は病気で亡くなったので、急な死ではありませんでしたが。
今に集中する。そして自分が本当に大事にしたいことを大切にし、
好きなことを熱中してやるだけだと思っています!
– 死の意識は一つのキーワードかもしれませんね。ありがとうございました。
Profile
愛宕 翔太 / Shota Atago
1988年生まれ。長崎県出身。
2012年コデアル株式会社を創業し代表取締役社長を務める。
「働くをもっと自由に」のビジョンを掲げ、即戦力複業求人サイト「コデアル」を運営。
近年のフリーランスの増加、リモートワークの浸透、
複業の活性化の背景に追い風を受けて、仕事に個人が合わせるのではなく、
個人に仕事が合わせるような世界を創り出すことに尽力。
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