Vol.2 – 日置 愛 / 1週間ルームシェアweeeksで”住”の当たり前を再定義

※内容は、2018年10月時点のものです

“人生は一度きりで、一瞬。
誰も自分のことなんて気にしてない、思うように生きよう”

服も食事も昨日と同じ人は少ないのに、住居だけは固定されているー…
人生はもっと流動的でいられるはずだとNYで感じた日置さんが、1週間ルームシェアのweeeksを立ち上げるに至るまで。

いま

teritoru株式会社で代表をやっている日置と言います。

”世の中の当たり前を再定義する”をモットーに活動をしています。
今まで社会的に当たり前とされていたことを新しく見直すことで、
もっと人の活動が高まるのではないかと思っています。

その中でも、いまは衣食住の中における”住”に注目した
weeeksというサービスを主軸としています。
会社や学校へ通うというスタイルを変えずに、
帰る家を一定期間変えてみるというものです。

人は変化しないと停滞してしまう生き物なので、
衣食住の中でも、もっとも変えにくい”すみか”を変えれば
もっとも影響が大きいと考えました。

これまで

– どうして創業されたのですか?

昨年までNYの新聞社で働いていました。

多国籍な同年代の子達と仕事を通して出会う中で、
彼女らはとてもエネルギッシュに活動していたのにも関わらず
”愛が羨ましい”と言われてとても驚いて。

日本のパスポートは、どこにでもいける。
生まれた時から世界にリーチするパスを持ってる。
その価値観が私にはなかったので、とても印象深かったです。

ギャップを感じたのは、一時帰国のつもりで日本に帰ってきた時。
転職したいと言う子は多くても、みんな全然行動しない。
日本ではお金がなくて死ぬということもないだろうに…
日本と世界の時間の流れの違いに課題を感じました。

– どうやって創業に至ったのですか?

アイディアベースの想いのみの状態で応募したイベントの選考に通ってしまって。
法人化が必要なイベントだった為、慌てて登記をしました(笑)

その後、イベント主催者の方の紹介の流れから
朝日新聞社のアクセラレータに採択して頂くことになり。
実際に昨年12月から今年の3月までプログラムを受けて、
そこで現在のweeeksが生まれたという経緯になります。
本当に携わってくれたすべての方に感謝しかありません。

アクセラ卒業と同時に出資を受け、今に至ります。

– 実際に始めてみていかがですか?

なぜ、これほど多くの多彩な方が存在する世の中で
自分が会社を立ち上げるのだろうと思いました。
私は技術に詳しいわけでもないですし…

なので自分がやる意味を突き詰めていったところ、
人と社会の関わりは技術で変えることができるけれども、
人の感情は変わることはないと思ったのです。
誰かに必要とされたいとか、誰かに愛されたいとか。

だったら、そこを突き詰める事業をやろうと思いました。

特に資金調達が決まって、人が入ってきたこともあって
会社としていやっていかないとなという気持ちもありました。

始めてみて強く思ったのは、”社会は自分がいなくても回るのだ”ということ。
例えば企業が一つ倒産しても、社会が崩壊するわけではない。
人々の人生は流れていく。地球は変わらない、時間は止まらない。

でも、だからこそ人の人生とは儚く、一瞬が尊いのだと改めて感じました。

学生時代

– 活発な印象がありますが、どんな学生時代だったのですか?

高校ではチアリーディングをやっていました。
女の子ばっかりだったこともあり、目立とうとかいうよりは
周りがうまく回るように気を使うタイプでした。
なので、自分がこうしたいとか意見をいうことはあまりなかったです。

幼少期から洋服好きだったので
ファッションの専門学校に行きたいと思っていたのですが、
親から仕事の心配をされたこともあって、
特に疑問もなく四年制大学への進学を選んで。

大学は社会イノベーション学部というところだったのですが、
実はほとんど行っていませんでした。

専門学校に行った友達が羨ましくて、実務をしようと思って。
ファッション誌のインターンとかをしていました。
大学2年の時には渋谷109でショップ店員をしてみたり。
大学3年生にはファッション誌の編集をして。
その後は技術だと思って4年生の時には
Fashion Techのベンチャーでインターンをしてみたり。

ずっとファッションのことをやろうとしていました!
1年生で4単位しかとれていないほどに、落ちこぼれ学生でした(笑)

周囲から留年確定だといわれるなかで、当の本人は全くそれとは反して
留年せずにそのまま卒業できると思っていて(笑)
4年生のときに、就職活動をしながら授業に出まくってフル単を取りました。

今思えば、大学生の間って自分と向き合う事の出来る時間が無限にある
貴重な時なので、いま学生時代に戻ったら
もっと突き詰めた事を色々したかったなと思ったりもします。

– 学校を辞めて創業とか就職しようとは思わなかったのですか?

学校をやめようとは思いませんでした。
人って、当たり前だと思っていることには疑問を感じないのですね。

普通に就活もして、某ファッションTech企業の古着部門に内定していましたが、
当時付き合っていた恋人の影響がすごく大きくて。
彼がイギリスに行くことになり、一緒に行こうよと言われたのですが、
この時、なぜかすごく抵抗感を覚えて。

誰かに、フォローする人生で、いいのだろうかと思った。
単純なのですが、イギリスの反対ならアメリカ、ということでアメリカに行くことを決め(笑)
初めて自分の意思で人生を選んだのは、この時だと思います。
ここで新聞の飛び込み営業をすることになり、今につながりました。

– ご家族の反応はいかがでした?

家族については、いろんなことに挑戦しようとする私をすごく真摯に受け止めてくれて。
愛情がセーフティネットだと、心の底から思っています。

– 若い頃の自分へ一言。

”誰もお前に興味ねえよ”って言いますね(笑)
若い頃は、見栄をはってみたり、周囲が自分をどのように思っているのか気にしたりする。

でも、実は自分の存在なんて、みんなそんなに気にしていない。

大事なことはそんなことではなくて。

そんなことよりも、自分がどういう人間であるか、何をしたいか、
きちんとそこに向き合ってほしいと思います。

自分は昔から自分なのだけど、自分の行動は変わったので
社会が思う”わたし”が変化したと感じます。

価値観

– 幸せだなって思うのはどんな時ですか?
太陽の光がとても好きなので(笑)
朝起きて、外に出て、陽の光を浴びたら、幸せですね(笑)
そんな何気ないことがすごく愛おしくて、それを大事にしたいと思います。

– ほしいもの、かなえたいことはありますか?

廃校をリノベーションして、ギャラリーホテルを作ってみたいです!

叶えたいことは、もっと循環する社会をつくること。
人が動き回る可能性を狭めたくない。
ホテルに泊まった人の宿泊費を、
ギャラリーのクリエイターたちに還元する仕組み。

ほしいものは特にない、です。物欲はあまりないのかな(笑)

直近だとライザップに通ってみたいです!
本当に結果にコミットすることができるのか試してみたいという好奇心(笑)

あとインドに行きたい!
NYにいた時に優しくしてくれた人がインド人で。
その人がすごくいい人だったから、インドっていい国なんだろうなって(笑)

これから

– これからの働き方はどうなると思いますか?

人間が生きているという行為に、働くという言葉を当てはめているのだと思っていて。
ここに充てる言葉が変わっていくだけで、行為自体はそんなに変わらないのかなと。

労働、といった作業的になるのではなくて、
もっと自分の時間を濃くするために生きようとする人が増えるのではないかな。

時間って、すべての人に平等ですが、どう過ごすかで全然違う。
わたしはそれを”時間に色をつける”と呼んでいるのですが、
これを、鮮やかな色に変えようとする動きがおこると思っています。

– ありがとうございました。

Profile

日置 愛 / Ai Hioki
1993年福岡県生まれ。
成城大学/社会イノベーション学部卒業。
新卒でニューヨーク勤務を決意し現地の新聞社で飛び込み営業として働く。
2017年帰国後11月に、“人と向き合いあたりまえを再定義する”をミッションとしたteritoru(テリトル)株式会社を創業。
暮らしに新しい選択肢を広げるルームシェアマッチングサービス「weeeks」を立ち上げる。