Vol.47 – 大村 信夫 / 命とは時間である – ”片付けパパ”に聞く「人生のミッションを見つけるメソッド」

三人のお子さんのいる会社員の大村さん。
中央区100人カイギで出会った彼は、自身でも「片付けパパ」を名乗り、今ではそれをビジネスの場で研修に用いています。

片付けパパを始めた理由。
ビジネスでの活用方法。
そこから見つける、自分だけのミッション。

働き方相談でもっとも多い「やりたいことが見つからない」への一つの答えが、ここに。

命とは、時間である。

いま


-大村さん、よろしくお願いいたします。

はい、よろしくお願いいたします。
中央区100人カイギでお会いして以来ですね。
僕もあの後、登壇したのですよ。

– 第二回のご登壇ですね、おめでとうございます。現状をお伺いできますか?

はい。青森県で生まれ、高校卒業まで静岡で育ち、現在は東京都に住んでいます。
仕事は家電メーカー会社員で、兼業中。

家庭は、妻と子ども3人の5人家族です。
子どもは上から中3女子、小5女子、小2男子。
女子2人は思春期真っ盛りなので色々と悩ましいし、男子なんてママ大好き時期ですしね…

-悩ましい時期ですね(笑)

そうなんですよ。
妻も働いているし、僕らは家事に育児に忙しい。
そうそう、クッキング・パパってご存知ですか?

-あら懐かしい!見ていました。

あの漫画にインスパイアされる形で、「片付けパパ」というのを始めたんです。
クッキング・パパは、当時の日本では時代背景的にも珍しかった、料理を妻や子供へ振る舞う男性を描いた漫画作品。

一見料理漫画に見えますが、実はあれは、料理を通じて家庭・地域・社会を良くしていくという話なんですね。
私は、それを「片付け」を通じて実現させたいと考えているのです。
あ、ちなみに「片付けパパ」はちゃんと商標取っているのでマークが付いています(笑)

– そうなのですね!ちなみに商標って取得に半年以上くらいかかるので、取り組みへの本気度が伺えますね。なぜ”片付け”をやろうと思われたのですか?

はい…実は、こちらの写真をご覧いただきたいんですが…

-うわー!これは…

娘2人の部屋です。まさに足の踏み場もないというのはこんなことだろうと(笑)
この状況を見たときにどう感じますか?
汚い、乱雑…そんなところです。
でもそれだけではない。

日常生活で何が発生するかというと、あれがないこれがないという時間のロス、妻の不満…とにかく色んなものが悪化するんです。

– 確かに、派生的に精神状態にも悪影響が出そうですね。

誰かがイライラすれば、それを受けた人がまたイライラして、雰囲気はどんどん悪くなる。
でも、僕はそんなことを望んでいなかった。

そこで、高校時代の同級生の女性に片付けが出来ていないことを愚痴っていたところ、なんと偶然、その女性は整理収納アドバイザーを仕事にしている人だった。

– 整理収納アドバイザーって、お仕事としても成立しているのですね。

そうなのです。
そして彼女は、「大村くん、大丈夫よ。任せて!」と言ってくれて、後日我が家の片付けをしてくれた。
見てください、この写真を。

– おぉ〜!綺麗!

そうなんです。
そして部屋が整うことによって、家族間のコミュニケーションも良質になった。
僕はこの時、「部屋が整うと、心まで整う」と気づいたのです。

– 視界の風景も変わりますから、自分の心境も変わりそうですね。

はい。
僕はそれまで、片付けにはセンスだと思っていた。

でも違った。
片付けにも理論があると分かり、センスではなくスキルであると気づいたのです。

– 私もグラフィック・レコーディング講座で同じようなことを話しましたが、絵心と同じ、ですね。

そうですね。
そして僕はスキルを身に着けるために、ハウスキーピング協会の整理収納アドバイザーを取得することにしたのです。

-女性の方がたくさんいらっしゃるんですね。

はい、そうなんです。整理収納アドバイザー1級は1万人位いますが、女性が97%。
男性は残り3%なので、約300名しかいないんです。

– えっ!そんなに偏りがあるのですね。

はい。私はこれを強みだと捉えた。
ここに男性観点&ビジネス観点を加えて、片付けの効能を広めたら面白いのではないかー…
そう思って活動をはじめたのです。

– 面白そうですね。片付けの基本は、モノの住所を決めるということですね。私の母がかなり片付けられる人だったので実家はとても整理されていて、私はその理念を体感してきていて。

そうなんですね!まさにその通りです。
遠藤周作さんが「人生には何一つ無駄なものはない」という本を出していらっしゃる。

[ 人生には何一つ無駄なものはない – 遠藤周作 ]

大村的にはこういう本を出したい。
「探し物の時間ほど無駄なものはない」(笑)

– あはは。片付けパパとしてはどういう活動をされていらっしゃるのですか?

最初はPTAでの講演活動などが多かったのですが…
片付けを、ドラッカーの経営論と結びつくという話を始めてみたのです。
すると、会社内でもやってほしいという声がでてきた。

[ 経営論 – P.E.ドラッカー ]

社員向けに何度か講演して、かなり良い反響をいただいています。
おかげさまで企業研修だけでなく、全国で講演の依頼もいただけるようになりました。

– 素晴らしいですね!多くの人を人生を変えるきっかけになりそうです。

これまで

-ご出身はどちらで?

僕は青森三沢市出身。
実は、両親共に自衛官で、航空自衛隊の三沢基地に勤務していました。

これが唯一の家族全員で写った写真。

-わぁ!唯一…?

実は同年、父が白血病で他界しまして。41歳の若さでした。
母は自衛官をもう辞職しており、父の代わりになって、僕と8歳上の姉を育ててくれた。

一生懸命に育ててくれる母は、いつも明るく優しかった。

そんな母がある日、珍しくふさぎこんだ顔で、謝ってきたんです。
「ごめんね、将来、信夫は銀行員にはなれないと思う」と。

僕は取り立てて銀行員になりたいと言っていたわけではないのですが、学歴や家庭環境での入社ハードルが高い就職先のようで、母子家庭で育った人は就けない職業だったのです。

– 元銀行員としても思うところが多々あります…

僕らは、望んで母子家庭になったわけではない。
それでも、人生の選択肢が狭まる。それは悲しいことだと思った。

けれど母は「母子家庭だからと行って教育は不自由させないからね」と言ってくれた。

-お強いお母様ですね。

姉は、早稲田大学に現役で合格しました。
僕はどこへ行ったと思います?ちなみに姉よりも頭は良いです(笑)
ヒントは御茶ノ水のあたり。

-う〜ん、一橋大学?

ブブー。駿台予備校です(笑)
現役で受けた大学は全て落ちました…

– あらら…

一年間頑張って勉強して、多くの私大に受かったのですが、第一志望の国立大学には合格できなかった。それでも同じく国立大学である東京農工大学に入りました。

ここ、実は、現役の時に指定校推薦合格が出ていたけれど辞退をした学校。
けれど、結果としてそこに、入った。浪人をして。

1年の時間とお金が結果的には無駄だったということ。

でも母はこう言ってくれたのです。
「この1年、努力するということを学べたのは貴重な経験だよ、意味があったんだよ」って。

– 器の大きい方ですね。

でも私は一年間を無駄にしてしまった罪悪感から、全くやる気も起きず…
学校行ってもダラダラ、飲酒に喫煙。

そんな感じで社会にでたものだから、結婚して子供ができても、家事・育児を放棄して毎日飲み歩いていたダメリーマン。
特に父が死んだ年齢を意識して、その年齢になってしまう恐れから逃げるためにお酒ばかり飲んでいた。
肝臓の数値が正常値が0~50に対してその10倍ほどの数値を叩き出すくらいの身体になっていた。アルコール中毒寸前でした。

– おお…

でもこの時、父が病床で書いた手紙を見つけたんです。
「こんなにも早く人生が終わるなんて… 家族のために一日でも一秒でも長くいきたい」と書かれていた。

ここで気がついたのです。
父が死ぬほどまでに生きたかった一日一秒と、私がダメリーマンで自堕落に過ごしている一日一秒は同じであるのだと。

それから父親の分まで充実した人生を生きようと決めて、自分から貴重な時間を奪っていたお酒を辞めた。
生き方を考え直したのです。
以来5年経ちますが、一滴もお酒は飲んでいません。

そして孝行出来ていなかった母に恩返しをはじめようとした矢先、母に癌が見つかりました。

– 孝行したいときに、親はなし…

医師から家族へ説明があるからと、新幹線に飛び乗って慌てて病院に駆けつけた僕に、母はこう言った。
「仕事忙しいのに、きてくれてごめんね」って。自分のことを差し置いて息子の仕事の心配をしたんです。

– なんという…この方、国民栄誉賞か何か贈呈したほうがいいですよ…

自分は癌だというのにね。
僕も何か母のために勇気づけることができるということを伝えたかった。
この頃、東京マラソンにちょうど当選しまして、色々ありましたが完走することができた。

しかし、それからまもなく、母は天国に旅立ちました。
享年75歳。若いでしょう。

最後、僕が看取ったのですが、感じたことがあります。

言葉ではうまく表現できないのですが、病室で、母が息を引き取ったとき母の時間だけがなくなった感覚がありました。

この時わかったのです。

命とは時間であると。

– ええ、そうですね。

日野原重明先生が「命の授業」でこの話をしています。
そして、生きるとは「自分以外の人のために、自分の時間(命)を使おうとすること」であると。

[ 命の授業 – 日野原重明 ]

私が今、片付けパパの講演をしながら伝えていっている、僕が両親からもらった”ギフト”というのは、こういうことです。

命とは時間であり、時間を無駄にすることは命を無駄にしているということ。
一緒に時間を過ごしている人とは、命を分け合っている。
他人のために時間(命)を使うこと、それは使命である。

– 片付けパパに至るまでに、こういう原体験があったのですね。

そうなんです。
実は、片付けパパを始めるまで、僕にはそれこそPolarisがなかった。
だから、5年前から自分探しをしていたんです。
この5年間で約5,000人以上の方とお会いしました。

-ふふ…いかがでした?

発見したことがあるのです。
それはワクワクしている人とモヤモヤしている人がいるということ。
そしてその違いは「自分のミッションを持っているか」どうか。

– そうですねぇ。

「夜と霧」の著者であるViktor E.FRANKLさんが「人は誰しもミッションを持っている、そしてミッションは見つけるもの」と言っています。

[ 夜と霧 – Viktor E.FRANKL ]

僕も、セミナーで「あなたはミッションを発見していますか?」ということを聞くようになりました。

– Polarisの初期インタビューでもこの質問を入れていたのですが、結構ハードルが高いですよねえ。

そうなんです。
なので探すためのメソッドを紹介するようにしている。

・最高の人生の見つけ方 を見る
・人生の100リスト
・とにかく行動してみる など

– いいですよねぇ。私もリストを作り始めたのは大学生の頃だったかな。

そうなんですね、やはりここから始まるのかな。
そして最近気づいたのですが、これってキャリア設計にも紐づくなと。

– そうですね!

クランボルツ教授の計画的偶発性理論というのがある。
まさにミッションもキャリアも同じようにみつかると思ったのです。

僕自身、そのように行動した結果、自分の価値観や強みを発見することができた。
「自分らしい花を咲かせている人」を応援したい、増やしたいのだということを自覚できた。

– Polarisが見つかったのですね。大村さんの旅路がまた、誰かの旅の指針になっているのでしょうね。

価値観


(講演中の大村さん)

– では、大村さんのミッションを(笑)

はい(笑)
みなさんが自分らしい花を咲かせるためのミツバチになることだと思っています。

– わ!可愛らしいですね。

いろんな花に寄り添いながら、自分らしい花を咲かせてもらうためのきっかけや気づきの触媒になりたい。
だからこそ、いろんな人からミツ…人脈、アイデア、強み、情報、お金などを集めて、それを必要としている人々に届けていこうと。

– 素敵です!今はどのようなメソッドを用いられているのですか?

はい、最近ミッション・ラボというのをはじめたんです。

– 面白そうですね!

ミッションは見つけられていないけど、変わりたいという人ががたくさんいるんですよね。
それこそPolarisが見つかっていない人たち。
するとどうなるかというと、まず資格を取り始めたりするんですよね。

– 起業塾に行き始めたりね。私はそういう方々をStargazerと呼んでいます。

自分もそうだったからよくわかる。
でも先にミッションを探したほうが良いと思っています。

– 私も、Polarisではミッションを見つけるまでを、主事業のN.FIELDではそのあとの事業立上・拡大をお手伝いしていますが、大村さんはやりたいことが見つかっていない人へはどういうアプローチを取られているのですか?

世の中にはいろんなメソッドがあるんですよね。
ストレングス・ファインダーをやってみたり、滝に打たれてみたり(笑)
それをみんなで体験・実験しながら、ミッションの発見方法図鑑みたいなのを作りたい。

-まさに「人生のお片付け」ですね。

そうなんです。人生を整理したいのです。
そしてミッションがみつかると迷わなくなる。
お片付けの場所が決まれば、部屋が片付くのと同じ。

-とてもわかりやすいです、素敵ですね。これを求めている人はとても多そうです。

おかげさまで、この前も講師を招いて会社で人生の目的を見つける「Purpose Workshop」というのをやらせていただいています。
あと「セルフ・リーダーシップ」のセミナーをやりました。

-そうですね。人生のオーナーシップは自分で握るべき、という話は私もよくします。

そうなんですよね。
今は運営メンバー15人くらいでやっています。
今後ももっと拡大していきたいですね。

– パラレルキャリア・ワーカーとしても、素敵なご活動事例ですね。

これから


(中央区100人カイギVol.2での大村さん)

– これからやりたいこと。

ミッション・ラボを社内外に広めていくことです。
ミッションを持つ人が増えていけば、きっと世の中は変わっていく。

実は、ミッション発見という切り口のセミナーだと来て下さる方は限定されてしまいます。
でも、片付けのセミナーだと多くの方が興味を持って貰えます。
だから、人生は片付けをきっかけに整理されていくという話に続けているのです。

やりたいことを探している人はとても多い。
しかしそれ以前に、人生に必要がないことをやってしまっている人は多いのです。

– いま、私の周りには、いわゆる”会社員”ではない人が大半ですが、辞めた理由が「自分で自分の時間の使い方を決めたい」だという人が多いです。まぁ、私もですが(笑)

そうですよね。
一方で僕はあと10年、サラリーマンは辞めないと決めています。

– そうなのですね。それは何故?

多くの人は”これ”が出来ないから。
サラリーマンでありながら、家事も育児もパラレル・キャリアができるという見本を見せ続けることが僕のある種の使命であると思っています。

– 素晴らしいですね。同じことを言われたことがあります。個人事業主も法人事業主も古来より存在する。新しいのは会社員と自営業を両立させていることだから、それを体現すべきだと。

全ての人が事業主になったら世界経済は回らない。
でも、これはフェーズだと思うんですよ。
いつかはサラリーマンを卒業するという価値観でいればいい。

– そう思います。経済と精神の安定は表裏一体ですので。

団体戦から個人戦へ。
親、配偶者、子供の絡みもありますし、自分のやり方を模索するのは、ゆっくりやっていけばいい。
僕も自分の会社が副業禁止ではないというのを自分で発見して、片付けパパをやれる環境を自ら築いていった。

– 素敵ですね!社則には従わねばと思っていらっしゃる方は少なくないようですが、規則とは効率化のためにあるもの。ぜひ従業員だからと尻込みせずに変えていくお気持ちを持たれる方が増えていかれると良いですね。

そうなんですよね。
キラキラパラキャリの人々を見ると、みなさんキラキラだからできるという。
でも、僕がそれをやっていたら、その言い訳は効かないでしょう。

ダメリーマンだった僕だから、兼業している社員だから、その方々の心を変えていける。
変えていきたい。
だからもっと前に進もうと思う。

– 父親、夫というお立場からも、新たな男性像を魅せていって欲しいです!

はい!
実は私は「川崎パパ塾」という活動にも参加して、同年代のパパ達と一緒に子育てを考えています。
そして、やはり子ども達は、身近にある大人を見て育つのですから、我々がワクワク・キラキラしてないとですね!

– さすが、素敵ですね!今後のご活躍も応援しております。

Profile

大村信夫 / Nobuo Omura
家電メーカー勤務

「片付けパパ」代表。
整理収納アドバイザー1級。3児のパパ。
片付けの本質を見据えた独自メソッドを開発し実践してから、部屋の片付けはもちろん、禁酒(お酒の片付け)5年、ダイエット(脂肪の片付け)15キロなどを実現。

未経験から半年の練習で東京マラソンを完走するなど、多くの夢も叶えられるようになり、モノを整理することで心も整理され、日常生活や人間関係など人生全体に好循環が生まれることを伝えるべく、講演活動や勉強会の講師などを行っている。

会社からも兼業を認められ、100人を超える片付けパパ/サポーターの代表として東奔西走。
2018年12月にはYahoo!ニュースに2週にわたり連載された。

ライター

Nocchi

N.FIELD代表、Polaris管理人。
大手金融、IT企業での副業社員を経て、現在は事業立上支援を行う。
副業社員時代に、「自分で人生のオーナーシップを採る生き方」普及のためにPolarisの運営を始め、自身が新しい働き方を体現しながら、多くの人の働き方相談に乗る。

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