Vol.29 – 江成 道子 / シングルマザー自立支援の社会起業家に学ぶ、これからの仕事と育児

※内容は、2019年3月時点のものです。

大事にしている言葉は2つ。
持ちつ持たれつ、ほとんど持ちつ。これは我が家のオリジナルです。
そして、守破離(しゅはり)。

シングルマザー支援の会社と協会を自ら立ち上げられ、女性の自立支援を行なっている江成さん。
ご自身も5人の娘さんをお持ちのお母様でありつつ、自身の仕事、社会変革へ精力的に活動されていらっしゃいます。
これからの女性のあり方、仕事や育児への向き合い方などを教わりました。

いま

– いま、江成さんがされていることを教えてください。

シングルマザーの自立に特化した支援をしています。

シングルマザーサポート株式会社の創業者。
日本シングルマザー支援協会の代表理事。
大学講師のほか、個人で講義をしたりもするので4足わらじくらいですね。

支援協会がスタートで2013年。
その後、会社を立ち上げたのが2016年ですね。

[ 株式会社シングルマザーサポート ] [ 日本シングルマザー支援協会 ]

– 素晴らしいですね!それぞれの棲み分けはどうなっているのでしょうか。

企業との仕事は会社で受けています。
こちらは人材紹介が中心。

自治体との仕事は協会で受けています。
自治体の依頼は、実は、企業では受けにくいのですよね。

-そうだったのですね!

協会の方では、あちこちの自治体と協定を結んでいます。
ひとり親支援策として自治体が制定している支援講座や児童扶養手当はあるのですが、意外とないのが、「収入アップの支援」、なのです。

けれど、支援というのはそもそも収入増加ではないですか。
そうすれば自立できるのですから。

しかし、自治体の中にその考えがないのですね。
扶養するだとか、そういう観点が先に来ている。
なので、私たちは、扶養手当で生活が成り立ってきた方々へ、次のステップとして、仕事を斡旋したり、収入を増加させていくお手伝いをしています。

– 自立に必要とされているスキルというのはどういうものなのでしょうか。

スキルの前に、まず大事なものがあります。
それはね、マインド。
これ、一番必要なのに、誰も気づいていないのです。

– どういったマインドが、ハードルになっているのでしょうか。

そもそも、なぜシングルマザーが仕事を取っていくことにハードルを感じているか、をきちんと考えるひとがいない、ということですね。

日本はまだまだ男性社会。
一方で、男女は生物学的に思考回路が異なる。
男性はストレートに、女性は複雑に考えがちです。

何かやったことをないことを、やってみろと言われたらどうしますか?
男性だと、仕事ならば恐らく断らないでしょう。

しかし、女性は、これから起こるであろうことを一気に想像します。
自分が迷惑をかけたらどうしよう。
これだけのお給料をいただいて、もしできなかったらどうしよう。
子供が病気になったら、再婚したら、また子供ができたら…

– 結婚予定のない女性の就活生が、できるかわからない子供のことを考えて就職先を選んで、自分の可能性を狭めてしまう話と同じですね…

そうそう。
もともと男性より体力がないことに加え、生理による体調不良。
子供ができたときのハンデ。
女性は、男性から見えていないところで負っているものが多いのに、それを理解されない。

でも、男性上司に生理や妊娠の話をできるか?
できない人がほとんどでしょう。
女性が上司でも独身だと相談しにくかったりする。
最初から、保守的にならないと自分を守れない。

– 私は人に恵まれてきたことと、気にせず言ってしまう方なのでそこまで困らなかったのですが、職場の人たちの関係性によっては困っているという話はよく聞きますね。

起こっていない不安を諸々勘案し、できないという答えになってしまう。
けれど面接官の多くは男性。
できない、という結果だけ受け取り、その背景を知ることはない。

そのため、面接でもなかなか受からない。
世の中では人手不足なのに、自分は受からないということで、また自信を失ってしまう。

– そういえば、Facebook COOのシェリル・サンドバーグさんが著書の中で、彼女ですら自信がなかったという話をしていて衝撃でした。

[ Lean In / Sheryl Sandberg ]

そうね、それでもきっと、追い詰められていたらそれを選ぶのですよ。
今日1,000円稼げなかったら死ぬとわかっているなら、きっとその仕事を取るための答えをするはずでしょう。
でも、日本ではそのシーンがあまりない。

– 例え不安があっても、覚悟を持つことが必要そうですね。

そう。ただ、最初からそれができる人を集めると、ものすごく数が少ないのも確かです。
できない人をできる人にするには、彼女たちの恐怖心を取り除くことが必要なのです。

– 段階があるのですね。プログラムを経て、受講生の皆さまは変わりましたか。

もちろん!多くの人が変わりましたよ!
条件はたった2つ。
素直であること。向上心があること。

女性だけでなく、何らかの否定的な外的反応で自信を失った人が自立するのに必要なものは、この2つだけなのです。

いきなり、はい、トレーニングという話ではない。
原体験までカウンセリングしてあげて、その否定的な意見を取り除き、大丈夫だよ、そばにいる、一緒に頑張ろうと声をかけてあげるところから始まるのです。
そもそも、それがあるから、踏み出せていないのですしね。

– 一人では自律的に動けない人も、階段を作れば登っていけるというお話は、本園さんのインタビューでも出てきましたね。

[ Vol.18 – 本園 大介 / 3.11震災で命に向き合い、僕はグラレコ講師になった ]

-ちなみに男性だと、どうなのでしょう?

男性の方が、変わりやすいですね。
多くの子供は、母親との関係の中で自己承認を育てていく。
しかし、男性の場合、その役割が、恋人や配偶者にシフトしていく。
だから、お母さんとうまくいかなくても、リカバリーが効きやすいんですね。

でも、女性だと母親の愛を恋人、特に男性相手に求めることは難しいですよね。
素直に愛情を表現できる男性は少ないですし…
そうなると、自分で自分を認めてあげないと、最初の壁を超えられない。

– なるほど、恋人は素直に大切にしてあげましょう、と…(笑)それと、”母親による子供への接し方”が大事になりそうですね。

そうなんです。
子供を変えるのが母親ならば、母親への教育がとても重要なのです。

– 父親による子供への影響というのはどうなのでしょう。

従来は、母親と父親の役割というのは分かれていました。
母親は無限、無償の愛を注ぐ存在。
それによって子供は心理的安全性を確保する。

– これは森さんのお話でも出てきましたね。愛着理論、安全基地。

[ Vol.7 – 森 謙吾 / 働く人の心理的安全性を確保するため、僕は”Peerly”を起業した ]

一方で、父親というのはこれまで社会性の象徴でした。
どのように社会が成り立っており、自身がどうやって育っていけばいいかを学ぶ。
そして、両親が番として成立していることこそが、自身のロールモデルになる。

– そして今は、LGBT(性的マイノリティ)も受け入れられるようになってきて、夫婦や親の像も変わってきていますね。

そう、そして母親が働くことが当たり前になってきて、絶対愛と社会性を誰に求めるかも変わってきている。
男性が家事を積極的にしたり、保育園のお迎えに行ったり、育児休暇をしっかり取る事例も出てきていますしね。
世の中は今、とても過渡期にあるように見えます。

– なるほど。子供の育て方が変わる時期に来ていると言えそうです。

そうですね。
特に産む側である女性は、旦那さんが欲しいのか、子供が欲しいのか、どうなっていたらいいかをしっかり考えていく必要があるでしょう。
高度成長期のように、終身雇用で安定的に稼げる男性が絶対値で減ってきているわけですし、専業主婦モデルは望んでも得られない可能性が高まってきた。

– 結婚していなくても、離婚したら、シングルマザーになったら、お金はどうなるのかしら、子供はいじめられないかしらと、女性は常に心配しちゃいますね。

そこも意識改革をしていきたいと思っていますよ。
本当は周囲の価値観がもっと寛容になるのが一番なのだけれどね。
でも、偏見というのは、外からより、内側から生まれくるものだとも感じていて。

例えば、母子家庭であれば、子供の精神に悪影響を及ぼすか。
必ずしも、イエスではないはずです。

私自身、母子家庭だったのでわかりますが、気にしていなかったですよ。
母自身が、だったら、よし、たくさん稼がなきゃね!というマインドでしたし、そういう人だったのでお金もあった。

– 確かに、母親自身が鬱々としていたら子供は辛いですよね。

そうなの。
お父さんがいなくてごめん、離婚してごめんね。
母親がそう繰り返したら、子供は同級生に「お前の家は片親だ」と言われても言い返せないんです。

– お母さんは、私がいるせいで悲しそうなんだ、と自責するでしょうね。

私の家は親が揃っていなくて、かわいそうなんだ。
離婚をすることは悪いことなんだ、だからお金もないんだ。
私はかわいそうな子なんだ。

– まさに、呪い。『逃げ恥』で”私たちの周りにはたくさんの呪いがあるの、自分で自分に呪いをかけないで”と言うセリフがありましたね。

[ 逃げるは恥だが役に立つ ]

子供は親のことが大好きだから、まず呪いをやめてあげなければね。
うちの娘は、何かを言われても、うちお父さん二人いるわよ、いいでしょう!と、同級生を逆に泣かして帰ってきましたよ。

– そもそもいじめっ子のそのセリフも、周囲の人間やメディアが仕込んだ価値観でしょうしね。江成さんが、現在の仕事に到るまでのきっかけはなんだったのでしょうか。

やっぱり自分が苦労してきたから、ですね。
子供を預けながら働くことが大変だったと言う体験がすごく大きくて。
とはいえ、当時は、これではお金が足りないので、少し仕事を増やそうだとか、そういう風に切り抜けてきた。

子育てがひと段落してきて、ふと振り返ってみたら、私はなんであんなに大変だったのだろうと。
元旦那は、仕事は辞めてきてしまうし、借金は作ってくるし…
結婚している時が一番大変でしたよ(笑)

– 結婚というステータスが人生を決めるのは歪(いびつ)になってきましたよね。片親同士で育児するシェアハウスもでき始めていると聞きますが、そう言う場所も効果的になってきそうですね。

[ シングルマザーのシェアハウス – マザーポート ]

周囲に相談できる人がいないことこそ、真のワンオペなのではないかしら。
うちは子供が5人とも女の子だったこともありますが、長女や次女は子育てを見てきているから、妹や子供(自分の孫)の世話にも特に支障がないですよ。

– 昔の長屋ですね。シェア育児はこれからを救ってくれると私も思っていて、これを理解してくれる人が増えていって欲しい。

これまで

– 子供時代、学生時代。

あんまり記憶にないのですが…
学校はあまり行ってないですね、嫌いでした。
いろんなものに支配されていることが嫌で仕方なかった。

– あ、わかります!私のやることを、なぜ誰かが決めるのだろうという感覚はありました。

珍しい人ですね(笑)
私は16歳で家を出たので、そこから自活をしています。
寮に入って働き始めて。

ここで学歴がないということの壁に何度か当たりました。
中卒、高卒だからできないことって、たくさんあるのです。
この壁は、大卒の人には見えない。

大学の試験を受けたことがあって。
今、私は大学で講師をする立場にありますが、その職歴紹介の欄に、xxx大学入学という履歴が載っていて…
ああ、無駄な行動などないのだと思いました。

– 私も前職時代に、一般職の苦悩を総合職が決して理解できないことに、ものすごく苦しみました。結局、社会から何かが与えられるのを待つのではなく、自分が望むものを自ら勝ち取る以外の選択肢はないのだと悟った。

そうです。
苦難は経験者にしか理解できず、その苦難を乗り越えるのは、どれほど理不尽だったとしても本人にしかできない。

私は、21歳の時に子供ができました。
子供がいるとこんなにできないことがあるんだという気づきが、たくさんあった。
壁にぶつかってはそれを乗り越えるということを繰り返したからこそ、社会の中でたくさんの学びを得ました。

そのあと営業職になったことが、人生の転機でしたね。
平成になりたての時期だったので、あまり学歴も関係なくて仕事があったのもよかった。

– 江成さんご自身は、稼ぐ力をどのように身につけられたのですか?

やはり営業職になったことが大きかったです。
バブル崩壊の直前だったので、結果も出やすかったし、何より私に向いていました。
当時は夫もいたので、共働きで稼げば世帯年収は余裕がありました。

最初は病院勤務から始めているのですけれども、その後事務職をやって。
そして保険の営業職をやって…
今では営業以外は考えられないですね。

今は経営者ですが、実働としては営業がほとんどですよ。
経営者の人はわかると思いますが、営業も雑務も税務も法務も、事業計画だってなんでもやらなきゃいけないんです。
営業をやると、ただ企画を出して終わり、ではなく数字にコミットするので、売り上げなどの意識がしっかりつくのもとてもいいですね。

– シングルマザー協会の会員さんたちは、どういう職業を選ぶ人が多いのですか?

営業を選ぶ人は多いですよ!
女性には特に向いている職種だと思います。

女性はコミュニケーション能力が高いし、企画や事務などの専門性がなくてもなれる。
営業は絶対になくならないですしね。
経験がないからと尻込みせずに、まずやってみることが大事だと思います。

– 私も新卒で法人営業だったのですが、上場企業ばかりだったのに、最初は会社名を全然知らなくて…業界地図を読み直したりして、すごく勉強しました。

そうなのよね。
私自身、営業は大変でしたが、社会のお金の仕組みを知ることができた。
理不尽な社会が存在するということも知った。
会社の仕組みや、人の関係がどうなっているかも勉強できた。
これは起業してからも、社会で生きていく上でとても役に立つ経験なのです。

– 最近は、入社して合わないなと思うと、すぐ辞める人も増えてきていますよね。

もったいない部分はありそうですよね。
長く耐える必要はないですが、必要な知識をそこで得る為にいるんだ、という感覚があると良いのでしょうね。

一方で、シニア世代の人とお話をする時、若い世代と価値観のギャップが激しすぎて、困ることがあります。

努力しなくても、大手に入社できて、給料が上がり、昇進した高度成長期。
今はそうではないのに、自分の経験値で若手にものを語るわけですから、理解してもらえないのですけどね。

– 根性論を押し付けることを教育だと勘違いしている人たちもそうですよね。スポーツ界で出てきている膿も、それなのかな。

成功体験だからこそなおさら、意識を変えるのは難しいのかもしれないですけれど…
互いに変わる努力ができると良いですね。

– はい、そう思います。昔のご自分に言いたいことはありますか。

もともと協会を立ち上げたのが28歳くらいで…
最初の離婚後に、子供の笑顔をどうやって守ってあげようと悩んで。

その時、未来の自分が「大丈夫だよ、今幸せだよ」って言ってくれたらいいのに、って思ったんです。
じゃあ、その、未来の自分を作ればいいんだと思った。
それが協会を立ち上げた理由です。

– 未来の自分が引き寄せてくれる、この視点はすごくいいですよね。

離婚後、娘も同じように教育したので、すぐ仕事も決まり、貧困にはなっていないです。
できるんですよ。
お金が欲しいならやるだけ。
お金がない生活を楽しめるなら、そうすればいい。

– お金がないことで悩んでいるのなら、やることは一つですね。

そうです。子供の側にいたいのなら貧乏を楽しむ。
都内でやっていけないのなら、地方に行く。
選択肢というのは、もう、はっきりしているものなのです。

価値観

– 今、一番情熱を注いでいること。

伝え続けることかな。
シングルマザーに限らず、人は全て自立すべきだと思っています。
精神的自立がないと、経済的自立は難しくて。

– そもそも精神的自立をしているなら、経済的自立は勝ち取れますよね。

そう、自己肯定ができていれば自立はできるんですよ。
だから、協会にきてくれる人たちへ行うのは、その支援です。

– やっぱり、自律分散が社会を救う気がするな。今、5億円もらったらどうしますか。

何よりもマインド改革が先に立つのだから、子供との関係性をよくする講座をみんなに受けてもらう、かな。

子供を長く預かってくれる仕組みがいいのか。
それとも、早く帰れる仕組みを整えた方がいいのか。
保育園を支援することなども考えたりもしたんですけどね。

子供に大きな影響を与えるのは、母親なんです。
だからどれほど子供に大丈夫だというよりも、母親が子供を救ってあげられる社会を作ったほうが、社会を変える影響は大きいはずです。

– 理想の母親というのは、偶像的に存在しうるものなのですかね…?

優しいとか料理ができるとかはどうでもいいんです(笑)
自分がどうやって生きているのか。
自立しているか、自己承認しているか。

– 私は料理があまり得意でないので、その言葉はとてもありがたいです…(笑)

そうなのね(笑)
親がロールモデルなんです。背中を見せるべきなんです。
でも、今は背中を見せていない。
振り返って、向き合ってしまっている。

ああしろ、こうしろ、口だけの人間を尊敬するか?
言われ含めて、べき論で育ってきているから、そりゃあ、べき論で人を叩く大人に育つわけですよね。

– 親に限らず、先生とか上司とか、私にそう言うけれどあなたはどうなのって人、すごく多いですからね〜…

言ってないで、前に進めばいいだけですね(笑)
困ったら手を差し伸べるよと言う意思表示だけで、頼れるのだし。

– 普段お忙しいかと思いますが、オススメのアプリやサービスはありますか?

うーん、京王線のライナーが一番便利かな(笑)
指定席の特急が去年からできたんです。
私は終点駅に住んでいるので、座って帰れるのがすごく楽。

[ 京王ライナー ]

多摩地区の人には、ライナー、神ですよ!(笑)
朝も使えるので、待つとか混むとか、だから本当に楽。

– 神!(笑) 多くの人にとって、通学・通勤のストレスというのはすごく大きそうですよね。

引っ越しも簡単ではないからね。
あとはネットスーパーですね、イトーヨーカドーを使っています。

[ アイワイネット – イトーヨーカドーのネットスーパー ]

子供も5人もいるのでシェアハウス化していて、最近は家事をそんなにしてはいないですけれどね。
料理は趣味程度ですが、やはり自分が作る料理が一番美味しいです(笑)

– 私の母も料理や裁縫がとても上手で、すごいなと思います。ご趣味は何かおありなのですか?

いや、仕事ばかりで。
お城が好きなので、城巡りをしようかと思っても、一日休みを取るという行為が馴染まなくて。
最近は映画をよく観るようになりましたね!

– おお、私も映画大好きです!最近面白かった作品は。

7つの会議、マスカレード・ホテル、あと、翔んで埼玉!
神奈川県民ですけど、すっごく面白かったですよ。
会社が高田馬場にあるのですが、渋谷経由で来る神奈川県民と、池袋経由で来る埼玉県民が交わる場所なので、色々感じるところもあり(笑)

[ 翔んで埼玉 ]

– 私は埼玉生まれなんですけども、言っても全然盛り上がらないので、両親の故郷の福岡の出身って言っていました(笑)

そうなのね!(笑)
私は、生まれは東京で、育ったのは厚木なんですけどね。
地域ネタは面白いですね。

– 他にお好きなことは?

目が疲れるようになって、本は読まなくなって、動画ばかり。
YouTubeで落合陽一さんのチャンネルを見ていますよ、彼が好きで。

[ 落合陽一 / Twitter ]

あとはTVerでドラマを見たりね。
人の心理状況というのにすごく関心が強くて、そういう観点で見ています。
分析大好きなのですよね、赤川次郎とかもすごく読んでいたな。

[ TVer ]

本は最近たくさんもらうようになりました。
私自身も書いていますよ。
仕事がとにかく楽しいですね、こんな楽しいことはないです。

[ シングルマザー 自立への道 働き方教育で女性が活躍する社会へ / 江成道子著 ]

– こちらも拝読させていただきます!

これから

– 今年やりたいこと。

自治体の協定を10個に増やしたいと思っています。
ママのコミュニケーションの講座を作っていて、それを広めたいなと思っています。

– それ、最近周りでも「作って〜!」と言われます!

日本って、相談の文化がないのよね。
専門家に相談をする窓口がすごく少ないのですよ。
そうするとどうなるかというと、友達同士で愚痴って、ナーバスになっちゃう。

でもアメリカは夫婦の間にもセラピストやカウンセリングがいたりするでしょう。
私の友人も最近出産したのですが、すぐ働きにきていて。
すごいなと思いつつ、私たちが側にいるから、お腹が張ってるだとか、足の付け根が痛いだとか、そういうことについてすぐ話をしてあげることができる。

– やっぱりワンオペの真髄は、労働力以前に、真に孤独かどうかな気がしますね!

寄り添うことがどれほど勇気になるか、ですよね。
これは仕事斡旋のフェーズでも同じなのです。

普通の人材マッチングでは、双方の希望にあったものをマッチングさせていく。
うちはそうではなく、仕事に困っている人を教育して、企業に斡旋していくスタイル。
私たちが企業に連れていって見学させたりするので、採用より前に、企業はその人を見ているし、その人も企業を知っていて。

– これは普通の採用手順でも作ってほしいです、お試し期間。

そのあと、お母さんが環境が変わると子供が変わって、それを気にしてやめてしまうお母さんは少なくないんですね。
でもうちでは、そういう時期がくるけど、乗り越えれば楽になるからねと伝えている。

仕事で悩みが出てきて「私にはできない」と言っても、「そんなにすぐできないよ」とか、上司をむしろ変えに行ったりする。
入社後のフォローをしっかりするので、辞めないんです。
仕事は、慣れちゃえば、大丈夫なの。

– ということは、中長期的に導いてくれる人が側にいれば、大丈夫なのですね。

そうね。子育てコンシェルジュみたいなのがいるといいと思っていて。
母子手帳をもらいに行った時に、専用のコンシェルジュがついてくれて、何かあったら相談してねという人がいたら、きっと大丈夫なのですよね。

– それほしいですね〜!キャリアについても同じことが言われていますよね。

そうそう、その通り。
だからうちでは、協会の会員が何度転職しても、相談はずっとうちにくるようにしていますよ。
すごく手厚くしています。

– 心強いですね!これから子育てはどうなっていくのでしょうね。

経済的に自立した女性が増えれば、変わると思いますよ。
確か、フランスも、女性が自立してから子供は増えているはずです。

形については、夫婦の形にこだわらなくてもいいのかなと。
未婚の人も、自然妊娠35歳と言うタイムリミットを感じると産みたいと感じる人は少なくなくて。
体外受精でも何でもいいと思いますよ。

– 私もそう思います。恋愛というもののハードルが高すぎるんですよ…(苦笑)。これからの女性に向いている働き方というのは、何かお考えがございますか?

働き方はきっと、なんでもいいのよね。
女性自身にキャリアを止めないという気持ちの方が圧倒的に大事。
リモートというのは結果的に心配しなくても増えてくると思いますよ。

– だからこそ意識改革ですね!仕組みよりマインド。

少子化もね、実は働き方改革が影響していると思うのですよ。
忙しいと子供を作る余裕もないでしょう(笑)
だから早く帰ることも大事なのではないかなと。

貧困のカテゴリは、シングルマザーだとか、介護とか、障害とかそういうことではなくなって…
人間を能力で見る世界に、きちんと、なっていくと思いますよ。

– 女性に住みよい環境を作るに当たっても、制度を決める立場に女性が少ないことが課題になっている気もしていまして…どう思われますか。

困っている女性たちは待たずに、先に手をとって、始めてしまうのが良いかと。
男性へ対しても、女性のしてほしいことをお願いしていくスタイルにしていけば、一番みんなが住みよい社会になるのではないかなって。
脳の性差というのは生物的にあるので、そもそも平等ではないから、それを理解することが大事ですね。

– 相手の立場にたって考えるということが、みんなに必要そうですね。

そうですね。
一方で、意識の植え付けが意図的に行われている部分もあって。
例えば、シングルマザーは飲み屋の女だと思っている男性経営者にすごくよくお会いするのです。

けれど、全体で見れば、シングルマザーの全体数のうち、虐待を行った人、飲み屋の従業員数ってものすごく少ないわけですよ。
でもニュースでフィーチャーされたり、自分の接点があるものが全てだと思いがち。
これはすごく是正すべきだと思います。

– 誰もが自らの判断で価値観を情勢するということが大事ですね!
素敵なお話をたくさんありがとうございました。

終えてみて

江成さん

色々な方に質問されることによって、自分の意見も固まっていくのでありがたい機会ですね。
Nocchiさんは私の娘世代ですが、彼女と同じくらいの年代の方々とも一緒に世界を変える取り組みをしていけたらいいなと思いました。

Nocchi

なんという嬉しいお言葉…!
TEDxNihonbashiでご登壇いただいた縁で、今回お話の機会をいただき、光栄です。
安心し、勇気をいただけましたし、自分のマインドをしっかり建てつけ直すと共に、江成さんのような女性たちと手を取って、社会を変えられたらと強く思います!

Profile

江成 道子 Michiko Enari
シングルマザーサポート株式会社 代表取締役社長
一般社団法人日本シングルマザー支援協会 代表理事

1968年東京都生まれ。21歳で長女を出産。
仕事を持ちながら子育てをする環境の中で5人の娘に恵まれる。

離婚後、子育てと仕事の両立という新たな壁に直面し生活は苦しくなるが、子どもの成長に伴い生活を安定させていく。
その時に感じた「子育てと仕事の両立の難しさ」に疑問を感じ、自立したシングルマザーの方法論を導き出す。

2013年に日本シングルマザー支援協会を設立。
シングルマザーの自立に特化した支援を確立し、多くのシングルマザーの収入を上げ、自立へと導いている。
2016年、シングルマザーサポート株式会社を設立。
2018年に入り自治体との連携も強化。
2月に横浜市、3月に相模原市、9月に大阪市、10月に静岡市と、「ひとり親支援包括連携協定を締結。