18歳以下の参加者に限定したビジネスソン、Startup U18 Base。
NPO法人Startup Weekendからスピンオフして開催するようになったU18。
高校生の皆さんが活き活きとプレゼンされていました!
(写真はStartup Base U18提供)
(写真はStartup Base U18提供)
プログラム概要
取材対象
今回取材してきたのは、2019年春の回。
3/30-31と年度末最後の週末2日間で行われました。
場所は朝日新聞メディアラボ渋谷分室。
参加条件(募集要項より抜粋)
・14歳以上〜18歳以下の中高生・高専生で2日間参加できる方(定員25名先着)
※プログラミングスキル・デザインスキルなどは一切問いません。
※13歳未満で、高校生に混じってプログラムに参加したいというやる気のある中学生がいらっしゃいましたら個別にお問い合わせください。
※高1〜高3生まで参加者はどの学年も均等に参加者はいます。
※現地(会場)集合、解散です。
※高校中退の方も参加して頂けます。
(写真はStartup Base U18提供)
スケジュール
U18は2日間で行われます。
10:00集合、19:00解散で、宿泊なし。
保護者の方も安心して送り出しやすい時間設定になっています。
(写真はStartup Base U18提供)
(写真はStartup Base U18提供)
1日目にアイデアピッチとチームアップ。
夕方にコーチによるメンタリング。
2日目の夕方から最終プレゼンとなっています。
(写真はStartup Base U18提供)
(写真はStartup Base U18提供)
今回は最終プレゼンを見学させていただきました。
評価項目
評価項目は、大きく3つ。
①お客様に対して価値あるサービスか
②プロトタイプがあるか
③価値の証明をしているか
各項目10点満点の30点満点評価。
最優秀賞は審査員の判断で決まります。
(写真はStartup Base U18提供)
オーディエンス賞があるため、参加者である高校生たちも評価を行います。
(自分のチームの評価は行いません)
また、MPP(Most Performance PRIZE)賞という個人賞もありました。
審査員
廣澤さんと後藤さんは26歳。
高校生たちの約10年後の姿としても映りそうです。
後藤 道輝 / 株式会社ペイミー 代表取締役
慶應義塾大学卒業。East Ventures株式会社、株式会社メルカリ、株式会社CAMPFIREを経て、株式会社ディー・エヌ・エーに中途入社。DeNA戦略投資推進室での勤務を経て、2017年7月に株式会社ペイミーを設立。
廣澤 太紀 / ザシードキャピタル株式会社 代表取締役社長
2015年East Venturesに参画、Skyland Venturesへ出向。
2社VCを兼務し、「HiveShibuya」の設立と新規投資先発掘を担当。
2017年からは、投資先にて、新規事業のリリース・アプリマーケティングを担当。
また、East Ventures投資先にて社外取締役としてファイナンス業務に従事。
East Venturesを退職し、2018年9月シードファンド「THE SEED」を設立。
鵜飼 誠 / 朝日新聞社 メディアラボ
1993年朝日新聞社 入社。
財務部門、管理部門経て、2009年よりコンテンツ事業に携わる。
携帯へのニュース配信事業や朝日新聞デジタルの事業計画立案、電子書籍配信のJV設立を主要メンバーとして経験してきた。
2013年旗揚げのメディアラボには、準備段階から参加し、現在は、渋谷のラボという「場所」をベースに事業創造・協業プロジェクトなどを推進している、面白がりな人。
最終プレゼンの様子
(写真はStartup Base U18提供)
見学者は15-20名程度。
保護者の皆様や、OBOGの方々がいらっしゃっているようです。
(写真はStartup Base U18提供)
発表4分、質疑応答5分。
主催者から「緊張していると思うけれど、元気にいこうね!」と声がかかります。
幕間に都度都度BGMが流れる細やかな気遣いも。
今回は全部で7チームでした。
ちょっと恥ずかしそうで声が小さな人も。思わず応援したくなります。
①株式会社でざるーぷ
(写真はStartup Base U18提供)
デザイナーの作りたい、と購入者の買いたい、を合致させるアプリ。
デザイナーとして成功するきっかけにして欲しい、という気持ちから出来たそうです。
デザイナーがアプリ内でデザインを出すEC型であり、自身の知名度向上につなげられるとのこと。
実際のアプリ想定図もしっかり作り込んでいます。
Q&A
・BASEなど競合との違い
∟デザイナー支援に特化しており、フォロー機能などがある
②株式会社しまたび
(写真はStartup Base U18提供)
島の生活体験マッチング・プラットフォーム。
人気の農泊を、島に特化した形です。
島在中の高校生が3人もいるチームでした。
ユーザは空き家に宿泊し島の農業などを手伝うとのこと。
地方自治体と提携し、先方のニーズであるマップを作る、プラットフォームを作るというあたりを受注していけば収益化は可能そうと審査員からコメントがありました。
Q&A
ユーザのペルソナをもう少し詳しく
∟シニア層、学生など時間のある層を想定。
∟社員研修や学校旅行など、B向けにまとめたほうが収益化しやすいと思われる。
他の農泊との差はどこにあるか
∟漁や農業など、仕事を手伝うということが特徴。
∟チームの中に島の高校に通うメンバーがいるので、そこから広げたい。
③株式会社GREENPEACE
(写真はStartup Base U18提供)
禁煙したい人向けに、家族で禁煙を支援できるアプリ。
喫煙すると家族のお財布に貯金される仕組みで、禁煙サポート製品の広告で収益化を図ります。
貯まったお金を保険などと組み込み式にしたら面白いと思う、と審査員コメントがありました。
Q&A
煙探知機などがついていない自己申告制であればアプリでなくてもいいのでは
∟家族のためがモチベーションの人が多いので、家族で使えることそのものに価値
∟MVPの検証であればLINEの利用でも良い。ビジネスモデルとしてはRIZAPと同じ
禁煙できない理由は何で、それに対してどう対処をしているか
∟禁煙できない理由は依存性に精神的に負けているからと考えているため、それを家族でウォッチすることで解決
④株式会社ロスト&ファウンド
(写真はStartup Base U18提供)
落し物と落とし主をマッチングするアプリ。
落し物をした時にだけお金を払うのでリーズナブルで、拾い主側も、もし落し物を拾い報酬をもらえるならば拾うという人が70%もいることが調査でわかりました。
盗難を防ぐために交番を必ず経由させるなどのセキュリティ対策も考えてきています。
指紋で登録するので複数アカウントの作成は不可、拾ってくれた人のプロフィールを見ることもできる、拾った人は特徴や写真をアップしてマッチング、など、かなり詳細に考えられていました。
優しさランキングがあり、到達レベルをもうけ、一定レベル以上でなければ登録できない仕組みなど、犯罪前提のユーザのブロックについても対策が練られています。
Q&A
申請したら誰でも受け取れてしまうが、どうやって本人確認を行うか
∟登録時に個人情報を登録するので、トレースできるようにする
登録商品に対して類似商品のアフィリエイトをやるのが面白い
∟なくしたものに近い広告が出る仕組みは珍しい、とても良い
どこまでを落し物にするか
∟利用規約内に、一覧を巡回し、顔写真やごみは削除するなどのメルカリモデルを想定
競合との違い
∟MAMORIOはなくす前から料金発生、落し物ドットコムでは報酬がない
警察に届ける人がアプリを使っていない場合のミスマッチ
∟そもそも警察署がだしている一覧もあるので、そちらでまずないか探すはず
∟あくまで警察に届けることを促進させるアプリである
⑤株式会社Hey Taxi
(写真はStartup Base U18提供)
電車やバスと違って使われない、タクシーの利用率を改善するサービス。
プライオリティパス(タクシー定期券)という名目で発行し、圏内はサブスクで乗れ、混雑時に並んでいても先に乗れる、遊園地におけるファストパスLikeな機能を付加。
Q&A
・社用車を買ったほうが安いのでは
∟基本は電車でいった方が安いはずなので社用車を抱えるほどではないが、タクシーをよく使うという層にリーチしたい
パスを持っていない人からの不満への対処
∟チーム内でも課題として上がった。広告を出して認知度をあげることで対処
⑥株式会社RAUPAGE
(写真はStartup Base U18提供)
高校生が使いやすい新しいニュースアプリ。
スマートニュースやNewspicksなど、高校生のニュースアプリの利用率が低いことがアンケートで判明。
他の高校生の生の声を届けたり、自身で記事が投稿できたり、読める機能がある。
設定したカテゴリーのニュース+閲覧回数ランキング上位のニュースがTLで流れてくる。
当初はコインがもらえるので初期は無料で記事が投稿できるが、継続して投稿するためにはコインが必要という収益モデル。
Q&A
お小遣いが少ない中で高校生が課金するか?
∟200円で10回投稿できる料金設定なので、本当に面白いと思ったら課金するはず
競合としてグノシー、スマニュー、NewsPicksの決算を調査したか。見たら、結構な規模がなければ収益化は難しいことがわかると思うが、どれくらいのスケールを目指すか。
∟決算は見た
∟高校生にとってはそもそもニュースへの興味が薄く、Twitterで友達の情報をチェックするほうが気になるのであれば、ニーズへの刺し方は考える必要あり
⑦株式会社OTSUKAI
(写真はStartup Base U18提供)
旅行中の人に欲しいものを買ってきてもらうアプリ。
スーツケースの空いたスペースでお小遣い稼ぎができる。
リクエストを掲載すると、トラベラーが買ってきて、発送してくれる。
トラベラーはありがとう料が高い商品を買ってきてくれるので上手くマッチングする仕組み。
防犯上の対策として、レシートの添付を義務付けさせるなど細やかな想定。
旅行者はあまり希望しないが、出張者には好評との意見が出たとのこと。
発送先はまず国内のみで開始するそう。
Q&A
・輸送費も送料もかかるのならば、越境ECで購入したほうが安いのでは
∟現地で買って送料をのせてもなお、越境ECより安く手に入るものも存在する
┗実際にチームメンバーが、欲しい海外の商品をAmazonで購入しようとしたら、現地価格の5倍近い値段だったという経験あり
・具体的な商品の想像がつきにくい
∟立て替えに負担もあるので、高級品は除外
・どうスケールしていくのか
∟インスタでハッシュタグおつかい、等のキャンペーンを設けて、OTSUKAIで購入してきてもらった商品を拡散してもらうといいかも
※これは、筆者がLead Organizerを務めたStartup Weekend Tokyo Travel #1でも出たアイデアでした。
高校生から大人と同じアイデアが出てくるという凄さ!
やはり送料とトラベラーへの報酬が論点になっていました。
こちらで全てのチームの発表が終了。
お疲れ様でした、自分に拍手〜!と拍手をしてから、審査に入ります。
(写真はStartup Base U18提供)
結果発表
緊張の最終発表…
(写真はStartup Base U18提供)
最優秀賞は…
最優秀賞
株式会社ロスト&ファウンド
(写真はStartup Base U18提供)
落し物マッチングのロスト&ファウンドが受賞。
一人ずつ、名前入りの賞状が授与されました。
(写真はStartup Base U18提供)
オーディエンス賞
株式会社ロスト&ファウンド
(写真はStartup Base U18提供)
(写真はStartup Base U18提供)
なんとW受賞です!
純粋にみんなからの投票での獲得点数が最も高かったチーム。
MPP賞
最も参加者やオーガナイザーに影響を与え、オーガナイザーにもなってほしい方が選ばれました。
今後スタートアップベースラボに無料で入れるそうです。
講評
(写真はStartup Base U18提供)
・引き続き、友達になって仲良く続けてもらえればと思います。
・特におつかい、しまたびは僅差だったんですが、今回表彰されなかった人も引き続き頑張ってください!
(写真はStartup Base U18提供)
やりたい人10,000人、やる人100人、続ける人1人、と主催側からメッセージ。
続けることが大切なゼロイチ。
今後が楽しみです。
感想
社会人でもビジネスアイデアをピッチする機会は少ない中で、しっかりとユーザのニーズ、ビジネスモデルなどを考えて発表。
まずここに辿りつき、そしてやり抜いた皆さん。
これからが楽しみですね!
(写真はStartup Base U18提供)