[ イベントレポート ] パラキャリ酒場 Vol.12 〜一度の人生、ワガママに働こう編~

※Polaris初の外部ライターさんのレポートです!

管理人Nocchiも登壇させていただいた「パラキャリ酒場Vol.12@神保町 〜一度の人生、ワガママに働こう編~」!
イベントレポートをお届けいたします。

パラキャリ酒場とは?

“パラレルキャリアのはじめの一歩”を踏み出すための、ユニークなパラキャリ実践者の体験談を聞けるトークイベントです。

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タイムテーブル

2019年7月31日
19:15 開場
19:30~20:00 オープニング・登壇者紹介
20:00〜21:00 パネルトーク
21:00〜22:00 登壇者を交えたテーブルトーク
22:00 終宴

今回のテーマ


「一度の人生、ワガママに働こう」。

副業解禁企業も増え、転職もしやすくなり、一昔前より「柔軟な働き方」をしやすい世の中になってきています。
でも、「何をしたらいいかわからない」「夢はあるけど踏み切れない」「なんだかんだ会社員と言う身分に安心する」「自分で選んで失敗するより、会社に従っていた方が実は気が楽」なんて声も、パラキャリ酒場の参加者から聞こえてきます。

今回のゲストは、経営者やフリーランスとして、自分の人生の舵を握り活躍する方々。
情熱やご縁に任せて挑戦を続け、ワガママで欲張りに働くパラキャリ実践者のリアルな体験談と本音を伺います。

「やりたいことはあるのに一歩踏み出せない」「最近、野心が錆びついてる…」なんて方の気持ちに火をつける90分となれば幸いです。

会場の雰囲気

ドリンク飲み放題でお菓子も提供され、和気藹々とした雰囲気。
出張PORTOさん提供により実現した、お酒を片手にトークイベントを楽しめる素敵環境!


(PORTOの嶋田さん)


いま流行のグラレコ(グラフィック・レコーディング)も披露されました。

登壇者

肩書きが2つでも収まらない方々が登壇!
経営者やフリーランスとして経験豊富な3名が、ワガママに生きることについて教えてくれます。

磯部 一郎 / Ichiro Isobe

大学卒業後、プログラマーとして2年半経験を積み、2005年に先輩と創業。後に現(株)エグゼクションを設立し営業移管する。2010年ダンホールディングス取締役に就任し、エグゼクションを同社の100%子会社化した後、ダンホールディングス解散に伴い取締役を退任。
現在は、(株)エグゼクション代表取締役会長、(株)福水戸家代表取締役、(株)CATMADE代表取締役として、システム開発・地域ビジネス・WEBメディア事業の展開と、シェアオフィス・コワーキングスペース事業において「いいオフィス日本橋byFUKUMITOYA」の運営を行う。
他活動内容
・Evernote公認コンサルタント
・人形町二丁目浪花会青年部長
・創業支援系、経営戦略、WEB活用などの講義・経営勉強会の開催
・ネイルサロン(日本橋人形町)

野中 瑛里子 / Nocchi

86年埼玉生まれ。9足わらじパラレルワーカー。
新卒で三菱UFJ銀行入行、インターバンク部署にて法人の運用デスクとファンド管理を経験。2017年に転職し大手IT企業の新規事業部にてFinTechを中心とした新規事業企画を担当。
元々独立志望であり、2015年より起業の知見を貯めるため、NPO法人Startup Weekendに参加、以降プロボノを続けており、自身の企画として日本初FinTech, Travel, Workstyleなどがある。
2017年秋より副業解禁となったことで、財務・金融知識と人脈を生かし、それまでプロボノで行っていた新規事業支援を事業化すると共に、Life Shift時代の働き方である複業&独立研究所「Workstyle-Lab Polaris」を開始。
開始1年弱で50名以上のインタビューを行い、イベントも多数開催。
Facebookページフォロワーは400名を超える。

菅野 流飛 / Ryuhi Kanno

東京高専物質工学科卒業。東京工業大学にて分子生物学を専攻し博士 課程まで進学。
その後、Speee、リブセンス、リクルート、m-gramな ど、IT/ウェブ業界でベンチャー企業から大手企業までを渡り歩き、 事業部長、事業開発リーダー、COOなどを歴任。
「20年後の日本で高 専生(エンジニア)がより輝く世界を作りたい」という思いで、高専生のキャリア教育を行うための『高専キャリア教育研究所』を2017年 に設立。
スタートアップでの事業開発やスモールビジネス支援などを行いながら、高専生のキャリア開発のためのプラットフォーム事業を推進 している。

モデレータ

高村エリナ / Erina Takamura

パラキャリ酒場代表。
出版社に勤務しながら、NPOやベンチャー企業にて、編集、ライター、広報、司会のパラレルワークを実践中。
NPO法人奔流中国にて、代表の著書『馬上の旅人』の編集をプロボノとして手掛けた際には、amazonカテゴリランキング1位を海外旅行ほか3部門で獲得。
パラキャリ酒場を2018年7月に立ち上げ、全国100回開催を目指してお酒片手に奮闘中。パラレルキャリアをはじめたい方向けの実務講座「ゼロイチ予備校」、パラレルキャリアで広報・地方創生に取り組みたい方向けの「秘境PR部」も展開。

グラフィック・レコーダー

本園 大介 / Daisuke Motozono

今回のグラフィック・レコーディング

パネルトーク

<1>なぜ、「ワガママに生きる」ことになったのか

「実は、今日、会社辞めてきたんです(笑)」
という人が登壇者3名中、2名という驚きの状況から開始した今回のパラキャリ酒場。

「皆さんワガママですよね」と開口一番に切り込むパラキャリ酒場のオーナー高村さんの問いに対し、登壇者の皆さんの忖度ないパワーワードが炸裂します。

相手が社長でも納得いくまで衝突していたら、結果的に今の生き方になったと語るのは、高専キャリア代表を務める菅野さん。
「でもそれだけじゃない。一言でいえば子供のためです。僕自身はおそらくADHDなんです。もしかしたら、僕の子供もそうかもしれない。」
自身の性質を見つめた上で、特性の伸ばし方を探したと語ります。

「多動というのは現代ではあまりいい意味に捉えられることは少ないかもしれませんが、実は、得意な分野ではものすごく力を発揮する、ちょっと”オタク”な人たち。僕は高専キャリア研究所というものを運営していますが、実はそんな人たちに高専というキャリアはとても相性がいいんです」

ここで、高専の認知度を会場に聞く菅野さん。

「みんな、高専ってそんなに知らないですよね。だからこそ、優秀な高専エンジニアが、ホワイトカラーより給料が上がりにくいという、現実的な課題もある。だから僕は、高専を日本のスタンフォードにしたいと思っているんです」

熱い思いと共に、”使命感”こそが、今の生き方を選択した根本にあると語ってくれました。

「わがままというか、私には”会社を辞めるのが不思議”という価値観が、むしろ不思議(笑)」
と切り出すのはPolaris管理人のNocchiさん。

「私は一人っ子で。幼少期から、行動を邪魔するきょうだいもいないし、母も自由に行動させてくれていたので、思考回路が自己完結型だった。
だから、学校が始まって、グループや派閥というものが随分不思議でした。私にとっては、自分の行動というものは、群れがどうであろうと、自分で決めればいいものだった」

生き方のルーツは”生い立ち”だと語ります。
時間の使い方を自分で決められる方法を探した結果、こういう生き方になっているそう。

「自由とは裁量であり、自分より年齢や社会的地位、経済性がある人から奪い返すたった一つの手段は、実力。成績とか、仕事の成果とか。たとえセルや魔人ブウが地球にやってきても、悟空は、彼らより強ければ、地球で今まで通り暮らすことができますよね(笑)」

ドラゴンボールを引き合いに出しつつ、そうやって得てきた自由や、”やりたいことをやる”行動を経て、実際に人生が豊かになったと語リます。
「人には人の特性や好き嫌い、得意不得意がある。人生は全て皆さんのものなので、出来るだけ幸せで、望む人生を生きて欲しい。それでも、そのやり方がわからなくて諦めてしまう人も少なくないのではと思い、Polarisをはじめました」

僕は二人と違って今日会社辞めてなくて、どうしようかなって思ってるんですけど、と続け、会場の笑いを誘う磯部さん。

システム会社を運営する彼は、行動原理が”理由”にあると言います。

「僕、会社員の時に2~3日かかる受注業務を3分でできるようシステムを作ったんですよ。よし、褒められるぞって気持ちでいたら、システムだけくださいって言われて、会社の仕事がなくなっちゃって。会社からすごい怒られたんです、ばか!って。」
本質的には改善を行ったのに、会社からは予想外の言葉が待っていた磯部さん。

「違うだろって。ITの本質は効率化です。時計を見ながらパソコンの前に座って、仕事した気になるために、僕は社会に出たわけじゃない。」

ここで、ご自身が抱える病気についても明かします。
「僕は実は、結構重い病気で。今だって闘病中で、目が不自由だったり、手足が痺れている。そもそも余命を突きつけられているわけで、死のトンネルが目の前にいつも待っている。有限な僕の時間は、社会に恩返しするために使いたいと思ったのです」

生き方を、自分で決めていることが共通する3名。

「今いる組織や集団が”正しい”と信じ、無理に合わせる必要はない。生きづらさを感じたら、同じ価値観の人たちでまた新しい村を作って生きたっていいと思うんです。」
と、Nocchiさんの前向きなコメントに、会場も大きく頷きます。

「マジョリティやマイノリティは、とある母集団における割合の話であって、数が少ないから間違っているという話ではありません。母集団を変えればそれがひっくり返ることだってある。井の中の蛙として、たった一つの小さな母集団の中でマイノリティを否定してマウンティングする行動にどれほど意味があるというのでしょう。それに縋って、傷ついて、あきらめる必要なんてない」

使命感、ポリシー、生い立ち。
理由は異なりましたが、登壇者の皆さんは、自分の本心を偽らない素のままの姿勢で、真摯に生きる選択をしているようでした。

<2>「ワガママに生きる」メリット、有効な生存戦略


ワガママに生きることによる変化とは、何か。
会場の疑問を汲み取り、登壇者の皆さんに高村さんが投げかけます。

「思ったことが実現できること」と答えるのは、磯部さん。
「自分ができると思って行動し、周りもそんな自分のことを信用するから協力してくれる。その結果、自分の想像した通りの世界が遅かれ早かれ実現できる、不思議なことはない」
と続けます。

菅野さんは「人生に不可欠だけどバランスを取ることが難しい、健康・お金・やりがいが会社員と比較して人生のフェーズに合わせやすい」とする一方で、「自由と責任はセット、実力が無いことには叶わない」と危険性も訴えます。

Nocchiさんは、現在の世を動物園に例えて生存戦略を説明。
「高度成長期からの終身雇用制度というのは、3食付きの動物園のようなもの。でも実は、今は柵の一部が壊れている状態」

柵の崩壊に怯えるのではなく、試しにそこからサバンナに出て、自分で獲物を狩ることを覚えたのが、パラレル・キャリアであると説明します。
「パラキャリは自己実現の面から語られる事が多いですが、望む望まないに限らず、今後誰もが生き方・働き方を柔軟に変えていかないと、希望する生活レベルが維持できなくなる可能性はあります」

転職、複業、独立。時代の変遷と共に変わる生存戦略。
何れにせよ、自分の望むものを手に入れるということは、それらを実現する実力と表裏一体、という事のようです。


(お茶を出してくれる嶋田さん)

<3>会社員にはない、独立・起業できる人の特徴とは


最後に、ワガママに生きることを目指す方へ、その成否を分けるポイントを踏まえメッセージが贈られました。

菅野さんは一人称で語れることが重要だと説きます。
「自分の目と足を使って調べずに、ネットの情報だけを信じてしまうのは他人に自分の人生をかけているようなもの」。

また、「成功した人は人生のどこかで尋常でない努力をしている」と言います。
努力や挑戦ができる人間の特徴として安全基地理論を展開。
※母と子の間で心理的安全基地が確保されていることを前提に、その他の社会性が構成されていく理論

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家族や友達など、自分が心を許せる相手がいると、挑みやすいと語ります。
一方、安全基地は自分自身でもいいと語る磯部さんとNocchiさん。

「大切なのは自己肯定感。僕は、起業の際にリスクを取れた理由として、根拠のない自信があったし、埋没している暇があったら長所を信じて行動してきた」と続けます。

「人生100年時代だなんて、僕は思わない。“いつか”という言葉は行動にブレーキを掛ける。僕の前にはいつだって死があった。自分の人生を信じるなら、時間は有限だと思って直ぐ行動した方がいい」と訴えます。

「やりたいことが見つかれば覚悟は必要ない、勝手に付いてくる」と付け加える菅野さん。人生の幸福度はやりたいことに出会えるかどうかが大きい、見つけるには行動することが大切だと磯部さんに賛同します。

「私が自由に必要だと思うのはたった一つ、自己管理能力です」と語るのはNocchiさん。
「そもそも、パラキャリも起業も、誰がなんと言おうと行動し続けた結果にすぎない。これらが”すごい”という価値観ではない。私も、Polarisを、そういう道を選ぶべきだという啓蒙活動だとは思っていない。自分に合うものを探した方が幸福だという話だと思っています」

パラキャリや起業も、合わないと思ったら辞めることも自分の自由であると続けます。
「会社員の方が合っているなら、それでいいんです。自己実現の社会的影響範囲が小さくたって、本人が満足ならそれでいいはずなんです。ローリスクで始められて、すぐに引き返せるのもパラキャリの魅力」とし、まずはやってみることを勧めました。

最後に、パラレルキャリアを推奨する高村さんから一言。

「パラキャリ酒場1周年を迎えて私が思うのは、参加された皆さんは、どうか、イベントホッパーとしてでなく、活動家としてまたこのコミュニティにやってきてほしい」と語りました。
関連活動である、ゼロイチ予備校、秘境PR部などを挙げ、高村さん自身が成長しているように、ここにいる皆さんにも挑戦する道を選んでほしいという言葉で、締めました。

終了後


パネルトーク終了後のテーブルトークも大盛り上がり。
登壇者の皆さんが中心となって、メディアには掲載できない本音を繰り広げました。

多くの方が参加され、パラレルキャリアについて学んだ今回。
これから複業や独立をお考えの人にとってはもちろん、働き方だけでなく生き方を見つめなおす場としても、とても勉強になるトークイベントとなりました。

次回の開催

次回は8月27日の開催です!
Iotやシンギュラリティなど、何かと話題のIT業界はパラキャリとも好相性!!

ライター

野永 雄司 / Yuji Nonaga

NPO法人アクションポート横浜 事務局マネージャー
IT業界でデジタルマーケティングの分野に従事する傍ら、NPOプロボノとして大学生の活動を応援し、記事の執筆や編集、デザイン、動画制作などを行っている。

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