Vol.9 – 長岡 武司 / 愛を科学で見つめる”LoveTech Media”創業者の話

直感こそ、すべて。

いま

– 現状について教えてください。

僕は今、3つのわらじを履いていて。
妻が結婚したい女性向けの婚活コンサルタントという専門家として活動していて、そのマネジャーをしています。

[ 人生100年時代の女性支援カンパニー – スフィアロココス株式会社 ]

NPO団体の代表もしており、夫婦関係向上・出会い促進・情報リテラシー向上の3軸で活動しています。

[ NPO法人日本教育福祉振興支援協会(JEWPA) ]

最後に、今年11月から法人を立てまして。
あいテクテク株式会社という名前なのですが、いまやっているLoveTech Mediaというメディア運営が主軸となります。

[ Love Tech Media ]

あ、そして一児の父です。

– はい。Love Tech Mediaの印象が強いですが、それまでの経緯は。

2017年4月に、妻が日経MJさんに取材されまして。
記事の題材が”LoveTech”というものだったんですね。
僕はこの言葉がすごく響いて、「愛×テクノロジー」で何かやりたいと思った。

妻が婚活・妊活支援をする中で、もっとマス向けに情報発信したいなと思い、敷居の低いメディアから始めようと。

– Loveというのは広い分、結構難しいですね。

はい、大きな会社が始めるには難しいテーマ。
僕みたいな小さい規模のほうがやりやすいし、自分自身がマッチングアプリで結婚しているので、
LoveTechな生き方をしているからちょうどいいかなと。

– 一週間の流れを教えてください。

家や都内での仕事をする週とワーケーションをする週に分かれますかね。
週に2日は育児に費やしていて、それ以外は取材とか。
場合によっては娘を連れて行っていますね。
家族総出で仕事で動くことは多いです。

[ リゾートxリモートで働く”Workation” ]

– お気に入りのツール。

うーん、NewsPicksは好きです。
イベントを開催する身としてPeatixもよく使ってますね。
あと、WPSNIFFERというChrome拡張機能も最近はよく見ていて。
そのサイトがどのWordPressのテーマを使っているかわかるやつ。
仕事柄Wordpressで何か作ったりメンテすることも多いので。

[ 経済を、もっと面白く。 – NewsPicks ] [ WPSNIFFER]

あと、ペコッター使ってますよ!
婚活コンサルをしているとデート先に悩む方が多いのですが、ペコッターで聞くと結構出てくる。

[ 予約代行アプリ – ペコッター ]

– ほぅ…デート場所ってどのへんが多いんですかね。

恵比寿とかが多いですかね。
Dineってわかります?あそこで紹介されているレストランは雰囲気がいい。
あれはおすすめします。

[ デートにコミットするデーティングアプリ – Dine ]

– Love Tech Mediaっぽい(笑)

これまで

– 子供時代、学生時代。

おとなしい子でしたねぇ…
泣かないし、わがままも言わず、騒がない。
2歳からアメリカのテキサスに住んでいて、7歳の頃に日本へきたので、日本語が喋れなくて。
どうコミュニティに入っていいかわからなくて、人の顔色を窺う子だった。

中学から中高一貫の私立に行って。
中学は「技術工作部」っていう部活で燃費車を作っていたのですけど、ツインリンクもてぎっていうレース場での大会に出ていた。

高校に行ってからは色気を出してテニス部に入りました。
え?びっくりするくらい全然モテなかったですよ(笑)そもそも男女別棟だったし。
まあ、その後テニス好きになったのでいい機会にはなりましたが。

– 日本語を喋れるようになったのはいつ頃なんですか?

あ、小学3-4年生の頃には話せるようになっていましたよ。
日本語学校には行っていたので、アメリカでも勉強はしていた。
ただ、日本人が何を考えているかがわからなかった。
でも、中学にはいってモノマネとかでなじむ術を身につけた。
いま思えば、あれは処世術なのでしょうね。

– 幼い時期の処世術は難しいですからね。子供の頃の夢は。

あぁ、僕は本屋を経営したかったんですよね…
小さい頃から、絵本や小説を書いていたんですよ。
アメリカにいた頃からだから…4歳から10歳くらいまで…
しかも製本するのが好きだった。

山下清の切り絵を見て、僕もそれをやりたいと思って。
切り絵で表紙を作った絵本がありますよ。
え、見たいですか?まだあるのかなぁ(笑)

[ ADB -「裸の大将」で有名な放浪画家・山下清が貼絵で描いた花火 ]

パッケージ化された芸術作品というものの、美しさに、惹かれた。
いまでも本屋さん、やりたいですよ。
一冊しか売らない本屋ってありますよね。
地方の美味しいものと絵本の掛け合わせとか。

[ 銀座にある、1冊しか売らない本屋 – 森岡書店 ]

– 桃鉄の絵本版的な…クラウドファンディングの相性も良さそう。
– 昔の自分に言いたいこと。

我慢しなくていいんだよ、かな。
”迷惑をかけたくない”という気持ちが想像以上に強かった、多分。

母が僕を妊娠していた際、つわりがひどかったらしいんですね。
胎内記憶というのか、生まれてからは迷惑をかけずにいたい、と。

– では、迷惑をかけたくないというのは、お母様、に。

そうですね。
ただ、僕が他人に迷惑をかけたら、きっと母に返ってくる。
だから、彼女に迷惑をかけないために、いい子にしていよう、と。

– “いい子”、とは。難しい問題ですね。

親にとって、いい子…
しかしそれは役割によって変わるのでしょう。
先生にとってのいい子、友達にとってのいいやつ。
その人にとっての都合のいい人。トラブルにならない人。

– そこにつけ込まれた、といった体験はあったのでしょうか。

ありますよ。
僕は釣りも趣味だったのですけど、
中学の頃、リーダー格から、パシリみたいなことをさせられたことがあって。
嫌だけど、断ったら嫌われるし、というストッパーがあった。

この時、僕は母に相談してみた。「嫌なら断りなさいよ」と一言で終了。
悩んだ末に、「忙しいから無理」という言い方をした。
そうしたら向こうは文句を言っていたけれど、パシリはしなくてよくなった。

ああ、なんだ、自分の意見って、言ってもいいのだと。
この頃から少しずつ、”都合のいいやつ”から、シフトするようになりました。

– どういう自分でいたい、という偶像はあったのですか。

悲しいかな、幼い頃は、「もっと頭良くいないと」って思っていた。
受験のレールにがっつりと乗車していましたね。
学校では成績がトップでも、塾に行くとまだまだ上がいた。
高校くらいまで偏差値戦争に巻き込まれていましたね。

大学の頃は特に何も考えていなかったなぁ…テニサー楽しかった。
飲みサークルでもあったので呑んだくれてましたよ。
モノマネ好きだったんですけど、身内と有名人の
ハイブリッドモノマネっていうのを高校からやってたんですけどね。
面白いやつでいたいという気持ちがあった。

あぁ、思い出した。僕、芸人になりたい時期があったんですよ。
ネタとか作っていた。
お笑いやりながらワインバーで働いて、おしゃれにも足突っ込んだりね(笑)

– ふむ。人からの注目に快感を得ますか?

はい、得ていました、ね。
根本的には目立ちたがりなのかもしれない。
表に出て発表するのも「えーっ」とか言いつつ、多分好き(笑)

– なるほど。おとなしかった自分は、抑圧されたものだった?

明確に覚えてるのが、小学校5年生の運動会。
僕は体重が軽かったので、組体操の一番上だったんですけど、
注目がすごかった。この時の快感が、今も忘れられない。
ここから、注目されるという気持ち良さを覚えたのだと思います。

– ありえないと思うそれを体験するということは、いいきっかけになりそう。

価値観

– 長岡さんにとっての、幸せ。

妻と娘と、好きな時に好きなところへ行けること、かな。
僕の幸せは、きっと家族、なんだと思います。

人には、先天的な家族と、後天的な家族がいますが、
妻と付き合っているうちに、僕にとっての家族はやがて妻になっていった。
彼女とは仕事でも一緒だから、過ごす時がどんどん増えていって。
結婚して実家に帰った時、親に対する感覚がちょっと変わっていたのですよね。
きっと、結婚を経て、家族という価値観がシフトしたのだと思う。

根本的には、僕の先天的な家族は仲が良かった。
だから、どこかで後天的な家族でもそれを再現したい意向はあるのかもしれない。

– 先に聞こうかな。長岡さんにとっての家族とは。

言葉だと、難しいな…
…甘えられる、存在、なのかな。

僕は幼少期に、母に対する甘えを勝手に抑え込んでいたから、
妻に対してそれをリトライした感があるので、彼女は大変だったのではないかな(笑)

– 森さんのおっしゃる”安全地帯”ですね。

[ Vol.7 – Kengo Mori ]

僕は、男性の中で、こういう衝動があるのが僕だけだと思っていた。
でも、男性陣に聞いてみると、意外とみんなパートナーに甘えている。
男はプライドがあるし共有しないからなかなかわからないけれど、これでいいんだって、それがわかってから、すごく気が楽になりましたね。
妻には子供が2人いるって言われます(笑)

-少なくとも自分は、好きな男性からの甘えは嬉しいですけどね。
そういえば、恋愛至上主義って女性には多いですけど男性からは聞きませんね。

そう、ですねぇ…僕は好きになったら好きになるのですが、仕事とか、一番やりたいこと以上には、ならない。
だから、恋愛とは、欲求。あってもなくてもいいもの。

多分ですが、友人に”安全地帯”って求めることができない、んですね。
なんでも打ち明ける…無理だなぁ、男性だからなのかな。
だから僕にとっての理解者はパートナー、妻なんですよね。

結婚しようっていう気は、実はなかったんです。
子供を育てるには結婚というスキームが合うから籍を入れた。
形と本質を見誤ってしまうと、大変そうですね。

– そうですね。パートナーとそれ以外の違いって、なんなのでしょうね。

タイミングはあると思う。
意識のベクトルが揃っている方が、パートナーにはなりやすい。
揃っていない人と一緒にいても一時的な癒しにもなっても、
共に歩もうという気持ちにはなりにくい。だから永続しにくい。

それは、過去の積み重ねも影響する。
例えば極端な話、お医者さんとスラム街の人って、だめじゃないけど難しいでしょう。

結婚とは、昔は義務に近かった。
でも、今は、それに向き不向きがあることが受け入れられるようになった。

– どういう人同士がマッチングしやすいのでしょうね。

夢を持っている同士、夢を持っていない同士…
意識レベルが一致している人がマッチしやすい気がする。
マッチングアプリはそれを可視化しやすい気はする。

– なるほど。長岡さんにとって、子供とは、どういう存在ですか。

周りには、僕のプライオリティは娘だと思われているのですが、多分違うんですよね。
僕の最高優先順位は、僕であり妻。
僕にとって必要なのは妻なんですよ。
一方、妻の最高優先順位は娘。母性と父性の違い、なのかなぁ。

– なるほどねぇ。前後しましたが、今5億円もらったらどうしますか?

えっ、やったぁ…(笑) ( あげませんよ笑 )
まずは、いま作ろうとしているドキュメンタリー映画に突っ込みたい!
今ある会社の履歴を追ったドキュメンタリーを作ろうとしているんですよ。

– どんな会社ですか?

ちょっとまだ言えないんですが、近くクラファン立ち上げると思います。
もともと映画を作りたくて、新卒で映像制作会社に入ったくらいには映画好き。

– 物欲はあるんですか?

物欲はないですね。
昔はありましたよ、六本木の最上階に住みたいだとか(笑)
今はもうないんです。
会社員時代、年収が上がって、好きなことをしていた時期があった。
やがて、虚しくなった。これが2倍になったら、3倍になったら…
そして僕は、楽しいのだろうかと。
特に妻に出会って、それは変わった気はする。

– うんうん。やりたいことと欲しいもの。

うーん、LoveTech Mediaを面白いものにすること。
愛を補完するテクノロジーというテーマを突き詰めていきたいですね。

あー、あと、デジタルデトックスをしたいんですよね。
僕はスマホ依存症に近いんですけど、常に見てしまう。
健全じゃないなって自分で思ってます。これに行きたい。

[ ヴィパッサナー瞑想 ]

– これ最近あげる人多いな。やりたくないことと嫌いなもの。

満員電車…通勤。
決まった時間に決まった場所に行くことに意味を見出せない。
富岡製糸場かって思う(笑)

正社員やっていた頃もやっていたけれど、定時が苦痛だった。
鬱になりかけた時期がありました。僕には合っていないです。

– これはある種、現代における”労働奴隷”の象徴に見えてきます。

自己認知

– 性格。

典型的なB型かなぁ…
どうでもいいとこにこだわって、肝心なとこが大雑把。

– 動物に例えると。

え、なんだろ…パグ。
僕はすごく尻尾を振るタイプなので…
人がいたらすぐ尻尾ふっちゃう。僕はすごくそれ(笑)
妻にもパグだと言われています。

– 色に例えると。

紺色…?深海とか、好き。
妻は竹を割ったような人なのですが、僕は違くて。
ダーク感は、なんかあるらしい。

– 他人からはどんな人だと思われていると思いますか?

えぇ…うーん…
真面目って思われてそう。何かあると頑張るし。
あ、真面目でいいんですけどね!
プロジェクトがあれば頑張るし、自分でやりたがりだから、そう思われてるかも。
もっと楽に生きればいいのに、って。
でも、僕はもう楽だから、好きでこういう性格だから、って感じです。

– 趣味。

昔は、映画のパンフレットを集めていました。
数千冊は買ったかな…家にありますよ。
あとDVDやCD・レコードも集めていた。
ミニTSUTAYAをやろうと思っていたくらい(笑)

でも、iPodやiTunesが出てきて…
映像や音楽をパッケージとして所有する意味を感じなくなってしまった。
今残っているのは、本当に好きなごくわずかの作品だけ。旧ソ連時代の映画とか。

[ 惑星ソラリス ]

今は…ドライブ。知らない地に行くこと。
気に入った地になると何度もあしげく通います。
沖縄と愛媛とかかな…。あとは四万温泉。

これから

-これからの働き方。

3分化すると思います。
好きなことで生きる人、
好きなことしたいけどそれを選べない人、
それにすら気づいていない人。

転職、リモート、パラレル…増えはすると思います。
いや、どうかな…転職なのか、副業なのか…
多様化はするのでしょうね。

副業はある種流行っぽくなっていて、手を出す人がいて。
やってみたら馴染むっていう人が出てきそう。

-これからの日本。

高齢社会ですよね。
心の格差が…激しくなるのではないかな。
経済格差以上に、これの乖離が広がる気がする。

フィンランドとか北欧のような国にはなれない気がする。
陰険というか…闇を抱えた人は増える気がします。

国としては好きなので美しく存続してほしい。
でも現実解としては難しいのでしょうね。

-外国人労働者を受け入れるべきだと思いますか。

うーん…きっと、受け入れるべき、だとは、思います。
この国に希望を見出す人の、精神というものを輸入、すべき、だと。
東南アジアに行って感じたのは、交流によってこそわかるものがあるということ。
だから、知識ではなく、実体験として、彼らと交わることで変化があるのではないかな。

-ああ、いい答え…うん、多国籍国家への変貌。自分の老後はどう予想?

今以上に、自由には暮らしているとは思います。
ちょっと前はマレーシアに住んでいるって言ってたんですが…
これは40代くらいに叶えたくて。来年、視察に行こうと思っています。
娘に国際的な環境を与えたくて、ここは足元数年で意思決定をするはず。
50か60代には…日本に戻って、温泉地を転々としているのかも。

仕事はしている…絶対に。
ホリエモンや(キングコングの)西野さんがおっしゃる通り、
楽しむことが自然とお金になっていく時代。
はたから見たら、それは結果的に仕事といえるのだと思います。

-ありがとうございました。

Profile

Takeshi Nagaoka

映像制作会社でのプロデュースアシスタント、国産ERPパッケージ会社でのエリアコンサルタント/アカウントマネジャーを経て、婚活コンサルタント・澤口珠子と結婚。
そのまま2015年末から夫婦でスフィアロココス株式会社を営む。

メディア露出の多い妻のマネジメントを担う一方で、自身がPairsで結婚した経験をもとに、ネット婚活市場の分析と男性目線での婚活アドバイスを通じて、女性のネット恋活/婚活も支援。

2017年には第一子である娘が生まれ、一児の父として奮闘開始。
同年9月よりNPO法人日本教育福祉振興支援協会の理事長に就任、夫婦支援事業を開始。
2018年6月よりLoveTechMedia編集長として愛に寄り添うテクノロジー紹介メディアをスタートさせ、同年11月よりあいテクテク株式会社を創立。
愛×テクノロジーをメインテーマに活動中。